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21:ベッド問題。

 



 セシリオ様が家に来て五日、随分と傷が癒えてきました。

 やっぱり、ずっと一緒に過ごしていると治りが早いですね。


「あぁ。治りが早い…………だから、その、もう一緒に寝ないでいいと思うんだが……」

「そうですか? でもベッドはひとつしかありませんし」

「今夜から床で寝るからっ」

「寒いですよ?」

「床でっ!」


 どうやらセシリオ様は床派のようです。東洋にはそういった国もあると聞きましたが、それは屋内では靴を脱ぐからこそです。ここは土足で歩いてますし、床で眠るのは流石に不衛生な気がします。

 そう伝えたのですが、セシリオ様は頑なに床で眠ると言い張っていたので、諦めました。


「また伝わってない……」


 ボソリと呟かれましたが、こういう時はスルーでよさそうなんですよね。深堀りしようとすると、いつもしょんぼりされてしまいますし。


「ん……それなら、他の家から運んでくるよ」

「傷開きますよ?」

「もう大丈夫だよ。随分と休んで身体も鈍ってきてるしね。リハビリを兼ねて運んでくるさ」


 リハビリが家具の大移動でいいのか気になりますが、本人がやりたいと言っていますし、念のため側で見守ることにしました。




 朝食を済ませ、他の家を見に行くことにしました。

 少し間を空けた隣家のベッドは少しヒビが入っていて、流石に危ないだろうということでやめました。ですが、盥などの使えそうなものはあったので、一度家に運びました。


「本当に、保存状態が良すぎて、逆に怖いというか……」

「そうですか?」


 女神様がいて、色々な能力を与えられた聖女がいる。もしかしたら、百年以上前に、何か物の劣化を防ぐような能力の聖女がいたのかもしれません。


「確かに、そう考えると無くはないのかもな」

「ええ」


 先程の家の更に向こう側の家には、子供用のベッドが何個かとダブルベッドがありました。


「……ダブルはだめだ!」

「なぜですか? 広くなりますし」

「ダメ!」


 ピシャリと怒られてしまいました。まぁ、基本的に一人で眠りたいのでしょうね。

 私は人の体温で温まりながら眠るのはわりと嫌いではありませんでしたけど。特に肌寒く感じる夜は。


「……次の家に行こう」

「はい」


 いま拠点にしている家から少し離れたところに建っている家に、ちょうど良さげでいてかなり頑丈そうなベッドがありました。


「ん。これでいいな」


 セシリオ様が手早くベッドの後側の脚に保護布を巻きつけて、頭側をひょいと持ち上げました。

 そして、ズルズルと引っ張りながら「さて、帰ろう」と笑顔で言いました。


 普通は病み上がりで大きい家具をひょいと持ち上げられませんよね? 騎士様って、結構脳筋なのかもしれません。




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◇◆◇ 書籍化情報 ◇◆◇


「お前を愛することはない」と言われたので「そうなの?私もよ」と言い返しておきました。 〜氷の貴公子様と紡ぐ溺愛結婚生活〜
書籍表紙


美麗すぎてヨダレものの表紙絵を描いてくださったのは、『シラノ』様っ!
脳内妄想だった氷たちが、こんなにも美しく再現されるとか、運使い果たしたかもしれない……

あ! この作品も、もりもりに加筆しています。(笛路比)
おデートとか諸々ね。ラブなストーリーを主に。コミックシーモア様は限定SSもあるよ☆
ぜひぜひ、お手元に迎えていただけると幸いです。

各種電子書籍サイトで販売されていますので、一例としてリンクボタンも置いておきます。


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