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2:荒廃の砂地。




 王都を出てさてどこに向かおうかと歩いていると、ふと騎士の方々が『荒廃の砂地』という場所があると言っていた事を思い出しました。


 南に二日ほど歩き続けると、国の最南の村があり、その少し先は何処の国にも属していない砂漠地帯があるのだとか。そこには昔の小さな村の跡があり、綺麗な建物もかなり残っているのだとか。

 盗賊などが拠点にしていないかと確認に行ったものの、そこはあまりにも人の住める環境ではなかったため、完全な無人だったそう。

 そして近くにはいくつも村があることから、わざわざそこで暮らす意味もないのだろうとのことでした。


 私の能力は人の側に居続けると発揮されてしまうので、荒廃の砂地が一番平穏に暮らせそうな気がします。


 乗合馬車を何度か乗り継ぎ、最南の村に到着しました。思っていたよりも大きな村だったので、そこで必要最低限のものを買い込むことにしました。

 旅人に慣れているようで、野宿の可能性があるのならと、買うべきものを教えてもらえました。

 荒廃の砂地を拠点に様々な村で順番に買い出しをしていれば、ちょこちょこ旅する人くらいの認識でいけそうです。




 荒廃の砂地に着き、驚きました。

 砂地の中に家が数軒あるのですが、どれも廃墟ではあるものの、普通に住める建物ばかりでした。百年も前からこの状態だと聞いていたのですが、こんなにも崩れないものなのでしょうか?

 ただ、辺りには一切の植物が生えておらず、井戸は涸れて水気も感じられないので、長く暮らそうと思うと、厳しいのでしょうね。


 廃墟の中から井戸に一番近い、少し狭めの家を選びました。

 リビングダイニングがひとつになっていて、テーブルとイスがちゃんとあり、寝室にはベッドの木枠もありました。どの家具にもしっかりと布で保護してあり、かなり砂っぽくはあるものの、掃除すればすぐに住めそうです。


 家にはお風呂もあるものの、水がなければどうにもなりません。また、王都のトイレは水洗だったのですが、ここではそういうわけにもいかないのでしょう。持ち運べる桶のようなものが置かれていました。


 ここは騎士様たちから聞いていた方法の出番です。

 少し遠くに穴を掘って、そこに捨て、埋める。

 怪我を治療するために側にいたときに、騎士様とよくお喋りをしていました。まぁ、能力的に側にいるだけなので、雑務をしつつお喋りするしかなかった、というのが大きな理由なのですが。 

 家から少し離れた場所に穴を掘り、そこを破棄場所と決めました。荒廃する前はそういった専用の場所として使われていたような形跡もありましたので。


「ふぅ」


 掃き掃除を終わらせ、多めに買っておいた飲み水を使って拭き掃除も済ませました。

 ここから一時間ほど歩いた場所に別の村があるとのことなので、買い出しに行ってみようかと思います。

 暫くは周囲の村を頼って飲み水を確保しなければいけませんが、数日で解決するような気がしています。

 

 誰にも気づかれていなかったのですが、私の癒しの力は人以外にも効果があります。

 教会の裏にあった、あまり使われておらず濁っており、水位もかなり低かった井戸は、私が聖女の力を得た数日後には、透き通った水が溢れんばかりに溜まるようになっていました。

 たぶん、あの涸れ井戸も復活するような気がするのです。




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◇◆◇ 書籍化情報 ◇◆◇


「お前を愛することはない」と言われたので「そうなの?私もよ」と言い返しておきました。 〜氷の貴公子様と紡ぐ溺愛結婚生活〜
書籍表紙


美麗すぎてヨダレものの表紙絵を描いてくださったのは、『シラノ』様っ!
脳内妄想だった氷たちが、こんなにも美しく再現されるとか、運使い果たしたかもしれない……

あ! この作品も、もりもりに加筆しています。(笛路比)
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