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15:真実とは。

 



 しばらく悩んではいたのですが、やはり伝えたくないという気持ちが大きかったので、謝罪と素直な気持ちを伝えることにしました。


「隠していることはあります。そしてそれはこれからも自分の心の中にとどめておきたいです。決して国や国民に仇なすようなことでは――――」


 ふと、思ってしまいました。胸を張って仇なしていないと言えるのでしょうか? 故意に能力を使わない聖女は善といえるのでしょうか? 


 真実はひとつではなく、人がいるだけ主観があり、それぞれが思う真実があります。

 もしかしたら、真実を見抜く聖女はそういったものを見抜けるのか、自分の中の真実を基準として考えているのかもしれませんね。


「オリビア?」

「すみません。仇なしていないのかは、自身で明言はできませんが、するつもりがないとだけ」

「うん」


 セシリオ様が続きを促すようにこくりと頷きました。


「私は聖女です。たとえ役立たずだとしても、聖女の力を女神様に授けられたことは事実です」


 そのことに嘘偽りはなく、誇りも持っています。

 だからこそ、人命を脅かしたり粗雑に扱いたくはありません。自分の命も含めて。

 

「ん、分かった。無理に聞き出そうとしてごめん」

「いえ。隠されていると気になるのだと思います。話せずにすみません」

「ふぅ……」


 上半身を起こして話を聞いていたセシリオ様が、ため息とともにベッドに身体を横たえました。

 こちらを向いて横になり、じっと見つめて来られたのでどうしたのかと聞くと、治療院での雰囲気と違うと言われました。


「それは聖女の制服を着ていないからでは?」

「そういうことじゃなくて……瞳が生きているというか。治療院では今にも消えそうな気がしていた」


 ――――あ。


 セシリオ様の言う意味がなんとなく理解できました。

 治療院にいた頃は、身を潜めるというかなるべく目立たないよう、人の記憶に残らないようにしていましたから。

 それでも話しかけてきてくださっていたのが、主にセシリオ様でした。

 他愛のない話から騎士団での面白話まで、本当にたくさんのお話を聞かせてくださいました。


「儚いほうが、お好みで――――」

「今の君が断然いい」

「っ、ありがとう…………ございます」


 真正面から被せながらに言われてしまい、少し照れてしまいました。耳が熱いです。




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◇◆◇ 書籍化情報 ◇◆◇


「お前を愛することはない」と言われたので「そうなの?私もよ」と言い返しておきました。 〜氷の貴公子様と紡ぐ溺愛結婚生活〜
書籍表紙


美麗すぎてヨダレものの表紙絵を描いてくださったのは、『シラノ』様っ!
脳内妄想だった氷たちが、こんなにも美しく再現されるとか、運使い果たしたかもしれない……

あ! この作品も、もりもりに加筆しています。(笛路比)
おデートとか諸々ね。ラブなストーリーを主に。コミックシーモア様は限定SSもあるよ☆
ぜひぜひ、お手元に迎えていただけると幸いです。

各種電子書籍サイトで販売されていますので、一例としてリンクボタンも置いておきます。


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