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ロストソードの使い手  作者: しぐれのりゅうじ
ホノカ編

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五十一話 コノハの未練

 夜になり夕食やお風呂を済ませてからまたコノの部屋に戻った。中は魔法によって仄かな明かりで照らされている。


「ヒカゲさん、少しお話があるんです」


 コノは布団に正座で座ると、僕にクイクイっと手招きをしてくる。何だか、さっきのホノカの事もあって、未練の事を考えてしまう。そもそも、この部屋で二人っきりな時点で、サポートとは相反することをしていて、罪悪感が生まれてくる。

 対面に同じく正座で座ると、エメラルドの瞳が僕をしっかりと見据えてきた。


「話って?」

「……未練に関することです」


 ライトが弱くて表情は見えづらいものの、彼女は真剣な表情でいて、こちらも緊張の糸が張り詰める。


「実は……祈り手として役目を果たすことは未練じゃないんです。その、嘘を言ってごめんなさい」

「じゃあ本当の未練って?」


 下げた頭を上げるとコノはスラスラと言葉を紡いだ。


「ホノカを安心させるために、大切な人を作ることです」

「……コノが僕に告白したのって」

「もちろん、運命は感じましたし好きって気持ちもあります。でも、そういう人を作りたいという思いもあって」


 彼女が結構グイグイ来るのはそういう理由もあったんだ。その好意の裏側がわかって納得感と共に一抹の寂しいような感情もあった。


「ホノカにずっと言われてたんです。頼りないから恋人みたいな大事にしてくれる人がいいよねって。親にも言われてましたし」


 それってホノカが振り向いてもらえるようそんな風に言ったような気もする。


「ええと……親友とかは駄目なの?」

「でも、候補はホノカ以外にいないですし。時間も少ない現状だと、コノの気持ち的にも好きになヒカゲさんしかいないですし、ヒカゲさんがいいです!」

「な、なるほど」


 コノは僕の両手を優しく握ってくる。小さく柔らかな感触から想いと熱が流れ込んでくる。

 非常に困ったことになった。彼女の未練を叶えようとすれば、それはホノカの対しての裏切り行為になって。


「嘘を言ってしまったのは、本当のこと言うと無理に恋人になろうとしちゃうかなって思ったからなんです。それに多分、恋人のふりしても未練を解決しない気がしたので」

「でも、どうして今に?」

「マギア解放隊の人達に未練を聞いてもコノの味方をしてくれました。それなのに、黙っているのは違うかなって」


 そう答えて微笑を浮かべた。


「コノ、話してくれてありがとう。一つ訊いてもいい?」

「はい! 好きになってくれるよう何でも答えますよ!」


 彼女が距離を詰めてきて膝が当たってしまい、鼓動の速度が速まる。


「その……どうしてそんなに安心させたいのかなって。そこまで頼りなくはない気がしてさ」

「え……そんな風に初言われるのは初めてです」


 丸い目をさらに丸くする。確かに、夢見がちだし怖い部分もあるけれど、未練のためにしっかりと考えて行動していた。


「そうなの?」

「はい。でもそう思われるのも仕方ないです。だって、コノ少し前まで病気をでほとんど外に出られてなかったので。本当に小さかった時は、ホノカと遊んでいたんですけど、その後に色々と患ってしまったんです」

「病弱……」


 ちょっと走っただけで息切れしていたのは、単に体力が無いだけじゃなかったんだ。


「だから、両親にもホノカにもずっと心配されているんです。本が好きなのもそれが唯一の生きがいだったから」

「じゃあ……コノにとっての物語の勇者って結構思い入れがあるんだ」

「ですです! だから、同じように命の恩人であるヒカゲさんも勇者なんです!」


 そんな存在と重ね合わされるなんて、その重さに押しつぶされそうだ。


「だから……ヒカゲさん。コノは全力で好きになってもらえるよう頑張るので、祈り手の儀式が終わるまでに考えてもらえると嬉しいです。お願いしたいのはそれだけです」

「わ、わかった」

「ありがとうございます! じゃあ寝ましょうか」


 話も終わってことで、コノは光魔法を消し布団に入る。手を繋いでいた僕も一緒にその中に。

 ただ、考えることが増えて当然眠気はほとんど無かった。僕勝手に意識が消えることを期待して目を瞑る。


「……」


 どうすればいいのだろう。何か三角関係的なものが作られてしまった。自分が恋愛絡みでそんな当事者になるとは思ってもみなくて。

 でも、答えは分かりきっている。ホノカの未練はあくまで告白をする事にあるからそれをして断られ、そして僕がコノと恋人関係になれば済む話ではある。理屈ではそうだけど、幼馴染がいる人間としては、ホノカを応援したい気持ちもあって。

 感情と論理がぶつかりあってしまい答えを出せず、僕は意識が落ちるまでぐるぐると思考を回し続けた。

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