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吾輩は大剣である  作者: 高邑洋史
3/3

異世界から持ち主が現れてくれません その3

アユミと細身の剣が石畳を歩みだしたのを見送り、僕と女神はまた奥の間に戻った。

女神は一人残った僕の前に来る。

眉毛を下げた、銀色の髪をゆるく一つにまとめ上げた女神の顔を見たのは初めてかもしれない。

少し前かがみで、ワンピースの胸元見えちゃいそうです…


「残念でしたね、残っちゃって」


「え、あ、あの。残ったって…このあと来訪者…」


「神が作った異世界の門、閉じちゃったんです。本来なら6人来るはずなんですけど…今回は5人だけだったみたい。」


小首をかしげながら、不思議ねえ、とでも言うように女神は声をかける。


「そんな…じゃあ僕は…来訪者来ないのじゃこのままお払い箱ですか?」


もしかしたら僕は捨てられてしまうかも!と思い声を上げる。せっかく生まれて学んできたのに、来ると思っていた来訪者が来なくて…このまま廃棄されるとか、鉄屑にされるとか…


「さあ?私も来訪者迎え入れて、を何回かしてますけど、今回みたいなのは初めてで。

まあ、一人だけ残ってもなんですし、私が使うことはできませんが、私も地上の神殿に戻りますから、せっかくだし一緒に祀ってもらいます?」


「ま、祀る?」


思わぬ女神の申し出に素っ頓狂な声が出てしまったけど…来訪者が来ないなら、ここでひとり待っていても…寂しい。


「あ、あの…僕もし仮にここに残ったら…」


「多分お一人でいるだけになるかと。」


「それって、かなり長い時間一人ですよね…」


女神がしばらく考えて答える。


「うーんっと、私ここに戻ってきたの、300年ぶりですね」


…僕が学んだ時間がどれぐらいあったのかは知らないけど、少なくとも記憶がある限りでは女神は最初からいてくれたし、300年はここでは経っていないんだろうな…


「あ…じゃあ僕も祀ってもらったほうが寂しくなさそうなんで…行きたいです」


祀られたことはないけど、とりあえずここで300年待つよりは…まだ楽しいかも。

そう思って、僕は女神に付いていく決心を固めたのだった。

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