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吾輩は大剣である  作者: 高邑洋史
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異世界から持ち主が現れてくれません その2

「あっという間に、僕たちだけになっちゃいましたね…」


神殿の奥の間は、台座だけが四台佇んでいた。

円を描くような奥の間の中で、僕から反対側にある台座に声をかける。


「直接戦うと言うものは怖いものだろう。仕方がない。

我々の形状はなにせ剣。

そなたは大剣で私は片手剣だからな。

まあ、まだ来訪者は来るんだろうから、ゆっくり待とうではないか」


僕と正反対の細身の剣が答える。

凛とした声が奥の間に響く。

僕らは同じ剣だけど、置かれた台座が正反対だから、ほとんど話したことがなかったのだけど、心地よい声だな、と思った。


鞭が旅立ったあと、弓が旅立った。

その後は聖書。

来訪者は口々にこういった。


「弓道してたんで、弓のほうが慣れてるし…

「直接戦うの怖いからー、魔法のほうがいいなー。」


と言う訳で、直接剣を振るう必要がある僕たちは選ばれずに残ってしまったのだ。

…僕のことは特に来訪者たちは一瞥ぐらいしかしてくれなかったけど…


しばらく時間が過ぎ、奥の間につながる扉が再び開いた。


「さあ、アユミ。武器をお選びくださいな。」


女神が案内をしたのは背の高い女性だった。なんというか、動きがキビキビしたひとだ。

思わず見惚れる仕草で、片手剣を手に取る。


「少し短いけど、多分使えるから。こっちで」


手に取ると片手剣なのに、両手で構えて…


「え、え?僕両手剣…」


思わず僕は声が出た。

アユミと呼ばれた女性は、僕の方に振り返る。


「幼い子供かと思ったが…いるはずないか」


僕にはまた一瞥しただけ。

アユミは視線を外して、再び女神と会話を始めた。

ずんっと僕の心に重い気持ちが広がる。

どうして…僕のことは見てもらえないんだろう…


パンッと女神の手が鳴った。

やがて、足元には石畳が現れた。…こないだの鞭と消えたカンジよりは絶対マシだと思う。

「それではあなたの旅に幸あらんことを」

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