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魔法石殺人事件#1  作者: 誉 
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第一章 事件発生

殺すつもりはなかった。茫然と雨に当たる死体を見る。我に返ったのは耳鳴りの中で奥から段々、サイレンの音が聞こえてからだった。


私は咄嗟に血の付いた魔法石を拾い、転移結晶を使った。


-----


「昨日、10日午後9時45分ごろアルカベシティで焼死体が発見されました。警察は他殺と判断し、捜査を進めています。」






カランカラン。上司に連れられて居酒屋に来た。席に座り、机の端においてあったメニューを取る。上司は慣れた口調で「ナッチャン、いつもの。」といい、店主が気前よく答える。


「キサキさん、最近うまくいっているの?」


職場のことか、あるいは体調のことを指しているのかは分からないが、少し笑みを浮かべて「まぁまぁです」とだけ答えた。


外は雨、中は天井のライトで煙がよく見える。私の声はただでさえ通らないのに、注文は席から10mほど離れた所で調理しているナッチャンに直接伝えなければならない。最初こそ苦行だったものの、上司が何回も連れてくるので最近は顔を覚えたようだ。ナッチャンが紙とペンをもって早歩きでこっちに向かってくる。申し訳ない思いと顔を浮かべて注文をした。


「唐揚げと串焼き、それとビールね!少々おまちくださいっ」言い終わる前に台所へ向かっていった。今日は繫盛しているようだ。


注文を待っている間、壁にかけてあるモニターから、殺人事件のニュースが耳に流れ込んできた。


. . .。


「どうかしたの?キサキさん、考えこんじゃって。」


アルカベシティ...私の故郷だ。考え込むのも仕方がない。あの町に住んでるのは知能が低いトルトン族が大半で、他は私の家族と、両手で数えるぐらいしかいないヒトだけだ。トルトン族は好戦的という単語とは無縁の種族で暴力沙汰を起こしたのはこれまでにない。かたや殺人なんて起こるはずもない。

冷静に考えれたのはここまでで、体が思い出したかのように急激に冷え、反対に頭皮から汗がスルスルと垂れてきた。


「ノリタさんすみません、急用ができちゃって、今日は帰ります」


ノリタがぽかんとした表情で私を見つめる中、私椅子を勢いよく弾き席をたった。


犯人は思いもよらぬ、すぐ近くにいたことを気づかずに。


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