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異世界喫茶「ゆずみち」~勇者と魔王が異世界転生を愚痴っています~  作者: 美堂 蓮


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order28. ソフトクリームと調査結果

木々は完全に葉をつけ、花が咲き始めたこの頃。外に歩きに行くのであればバッチリなこの温度ではあるものの、今日は雨である。そんな日の夜中に喫茶「ゆずみち」に四人の男が集まっていた。


「このソフトクリームおいしいな!子供の頃によく食べた味だ」

そういいながら、青い甲冑を来た竜騎士のトリアがマスターに話しかける。

ソフトクリームは昔ながらのあみあみのコーンの上にのっているタイプだ。見た目からもソフトクリームの滑らかさや冷たさが感じられる。それを本当に子供のような満面の笑みで頬張っている。


「おいしいのは同感だけど……これってどう食べても最後に垂れない?食べてたら下から垂れてきたんだけど」

ソフトクリームの食べ方でかなり苦戦しているのは勇者だ。ソフトクリーム部分の上から食べていたのに下から垂れていることに気づいて、バタバタしている。


「勇者、わかってないですね。下をこういう風にかじって、吸ってしまえばいいんですよ」

そういうと、下の部分をかじって吸い始めたのはルイだ。器用に上を食べて、下からこぼれると感じるや否や、ソフトクリームの一番下の部分を自分の口より高く持ち上げて、食べている。


「ソフトクリームをおいしそうに食べてくれるのは嬉しいのだが……そろそろ話を始めないか?」

マスターは三人の感想を聞きつつ各々の要望である、アイスカフェオレ、ミルク、コーヒーフロートを作り終えて渡す。その声を聞いてトリアが詫びる。


「はしゃいでしまって、すまんな。前回にコーヒーフロートが頂けたから、次回来るときは頼もうと思っていたんだ。前の世界でよく食べていたから」

「まぁ、その気持ちはよくわかるので、怒ってはいないですよ。とはいえ、柚乃にイロナの相手をしてもらっているので、怪しまれないようにさっと終えたいです」

マスターは真面目に話す。その声で残り三人とも真面目な顔つきに変わった。そしてルイが口火を切る。


「まずは私から。マスター、ペンダントの模様に関する情報ありがとうございました。マスターから教えていただいた、サリアの町に調査に行きました。ただ、魔族の町に私のような人間だけで行って調査するのは微妙だったので、ちょうどお詫び行脚していたトリアさんも呼んで一緒に行きました」

ルイはそう話しながらトリアの方をチラッと見る。その様子を見たマスターが不思議そうに聞く。


「まぁ、調査に関しては誰といってもいいが、そもそもトリアさんと勇者さん、ルイさんって知り合いだったんだね」

その言葉に勇者がアイスカフェオレを飲みながら、興味なさそうに話す。

「あぁ、それはお詫び行脚中のトリアに俺が会って、戦争のおもちゃの剣の話をされて。それ俺がやったって話をしたから。困ったら言ってくれって言われてたから、困ったって言いに行った」

「なるほど。話の腰を折って申し訳なかった。続きをお願い」

マスターはルイに話を続けるようお願いする。


「その町の中で確かにペンダントは売られていました。その町の住人に聞いたところ、その銀色の太陽の模様はその町の伝統的な形状で、他の町でほぼ売られないようです」

その話を聞いたマスターは小さくガッツポーズをした。ただ、ルイの顔は明るくならない。


「ここからは問題になる部分です。このペンダント、話もした通りこの町ではかなり大々的に売られているものなので、旅をしてきた人も良く買うとのこと。なので、この町に両親がいる可能性はそこまで高くないと思われます」

「いや、それであってもかなり前進した。ありがとう」


マスターはルイとトリアの方をみて頭を下げる。トリアはその姿のマスターを話しかける。

「いやいや、私にしていただいたことに比べれば小さなことだ。私も色々な方に謝りに行けたし。あと、イロナ……という方の両親を探しているのだろう?であれば、私もほんの少ししかできないが手伝いたい」

「……そういってくれてありがとう」


その様子を見ていた勇者はアイスカフェラテを飲み切ってマスターに話しかける

「で、ここからは正直な話、総当たりするしかない。ただ、そこの町も含めて魔族中心の町が大半だ。ここ数年の休戦で人間との交流も少しづつ出て来ていて、今回のサリアの町みたいな人間にも友好的な町にイロナの両親が居ればいいが、そんな確証はない」


勇者は一旦話しを区切る。そして真面目な顔つきでゆっくりと話す。


「ここまで聞いてわかったと思うが、今回の件に関して、人間側はほぼ何もできない。だから魔族にここからは丸投げという形で進めたいと思うがいいか?」

「それでいいと思う。今回の勇者の話は筋が通っているから」

「了解だ。俺もこれまでの伝手をすべて使ってお願いしようと思う。ただ、俺の交友関係以上にこの店に来る魔族の人数が多い。だから、マスターにもこの店に来る魔族に可能な限り手伝ってくれる人材を集めてほしい」

「あぁ。わかった」


マスターはそれで話が終わりだと思って話を切ろうとした。だが、勇者はそれを止める。

「マスター、ここからが一番重要な話だ」

「……?」

マスターは話をすべて終えたと思っていたので少し疑問に思っているようだ。その様子を見た勇者が少し呆れながらゆっくり話し始める。


「マスター、ここまで話が進んだんだ。いつイロナちゃんに話すんだ?」

「……」

マスターは黙る。勇者はその様子を見て話しを続ける。


「恐らくそろそろ、イロナちゃんの両親に関する情報が出てくる。その時にどうなったら話すか、どうなったら話さないかをきっちり決めておいた方が良い」

その言葉に続いてルイも話しかける。

「このことはマスターさんが勝手にやっていることです。でも、それで傷つく可能性があるのはイロナちゃんであることだけは忘れないでくださいね」


勇者とルイから離されたマスターは目をつぶる。そしてゆっくりと、一言だけ返事をした。

「わかった」



ここは、マスターですら諭されることのある喫茶「ゆずみち」

さて、次はどのような話しを聞くことができるのでしょうか。



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