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異世界喫茶「ゆずみち」~勇者と魔王が異世界転生を愚痴っています~  作者: 美堂 蓮


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special1. クリスマスの準備

**specialはメインのお話と外れた、こちらと近しい時間でのお話です。また、マスターである僕の目線からのお話となります。あくまで気まぐれ開店なので、開店時間や日はバラバラです。ご気楽にご来店下さいませ。本日のみ、いつもの開店日です**


「おーい柚乃。クリスマスツリー出すぞ」

店が終わってから片づけを手伝ってもらっていた柚乃に指示する。すでに12月も入っているうえ、数日前から急激に温度が下がり、店の周りには雪が若干だが積もり始めた。そのような状況なのに何も無いのはお店の雰囲気としては寂しい。ただ、先に休憩に入っていた、目の前のカウンターでホットココアを飲んでいるイロナには聞きなれない言葉だったのか、不思議そうな顔をしてこちらを見ている。


「わーい!了解です~」

テーブルを拭いていた柚乃は手を止めて、楽しみな顔つきで二階にある倉庫のまで取りに行った。イロナは柚乃の顔や動作から楽しいことだと感づいたのだろう。僕の方を見て聞いてきた。

「マスターさん。あのぉ……くりすますつりーって何ですか?」


そりゃ魔界にはクリスマスとかは無いか。


「クリスマスツリーっていうのは、僕たちがいる世界の一部で行われている、お祝い行事に必要なものかな。クリスマスツリーはとてもきれいで、町中のいろんなところで見れるんだよ!」

「どんなものですか?それってどんな形ですか?」

「まぁまぁ。今から一緒に飾り付けするときに何かわかるよ」

あえて詳しく意味を教えず、イロナをなだめる。すると柚乃が自分と同じぐらいの高さの木を持って来た。もちろん本物の木ではなく、作り物ではあるが。

「マスター!重いからもって~」

柚乃がギブアップ宣言をする。イロナと話してて忘れてた……

「あいよ!すぐ行く!!」

僕はすぐに柚乃の方に向かい、一緒に持った。というか、よくこれを二階から降ろしてこれたな……

「ありがと~私じゃ重すぎて二階から滑り落としながら来ちゃった~」

まぁそうなるよな……おいちょっと待て。落としながらって、クリスマスツリー、折れてないだろうな……



柚乃と一緒に店の隅のいい感じの場所に木と装飾品の入った箱を置く。店の中で見ると少し小さめだが、お金的にも、今からの装飾品を考えても、これがベスト!!と昔に柚乃と一緒に決めた木だ。

「マスターさん。これがくりすますつりー……ですか?」

イロナはこの何もない木がクリスマスツリーと思って少し残念がっている。まぁ、間違いではないが……


「ちがうよ~。まだこれはただの木だよ。今から色々な装飾品を一緒に足して、綺麗なクリスマスツリーにするんだよ~」

柚乃が答えてくれた。イロナの顔がパッと明るくなる。

「一緒に何か足すんですか!?」

待ちきれない顔でこちらを見る。まぁまぁとなだめつつ、装飾品の入った箱を開ける。開けた瞬間、イロナの顔がさらに明るくなった。

「すごくきれい!!マスターさん、これ飾っていいですか?」

と赤や青の球のクリスマスでよく見るオーナメントを持ってイロナが聞いてきた。

「どんどん付けちゃって。付け方はちゃんと柚乃に聞くんだよ」

そういうと、イロナは柚乃に付け方を聞き始めた。柚乃も今まで僕としかつけてこなかったオーナメントの飾り付けをイロナと出来るのが本当にうれしいのか、いつもより3倍ハイテンションで答えてつけていく。


まぁ今年は僕が出る出番はないか、と思ったので、二人がオーナメントを付け終えた時のために飲み物を準備することにした。イロナはホットココアで柚乃はミックスジュース。いつも一緒だけど、やっぱりこれが二人にとってはベストらしい。というか柚乃は氷ありのミックスジュースなので、見ているこっちが寒くなるが。


そう思っていると目の前でどんどんクリスマスツリーが出来上がる。オーナメント系はほぼ全部つけ終わって、頂上に金ぴかの星も付いた。が、まだかなり大きいものをつけてないことに気が付いた。柚乃のやつ、わざとそうしてるんじゃないか・・・?


「イロナちゃん~。最後にこれを巻き付けよ?」

柚乃から紐みたいなものを渡されたイロナは困惑していた。

「柚乃さん……これを巻き付けるんですか?なんか他の物に比べて……地味です……」

「いいのいいの!!これを付けないとクリスマスツリーにならないよ~」

「柚乃さんがそういうなら、つけていきますが」

イロナは紐を束にして一か所に取り付けようとする……うん、その付け方は間違ってるな。柚乃は最終確認のために見てないし、言っておくか。


「イロナちゃん。その紐みたいなやつは、その付け方じゃないよ。一本の紐にして少し斜めにぐるぐるに巻き付ける感じでお願い」

「マスターさん。ありがとうございます。なんかイメージできなくて……」

「じゃぁ一緒にやろうか」

毎年柚乃とやっていたことをイロナとやるとは思っていなかった。

イロナと一緒に紐をクリスマスツリーに巻き付けていく。その紐が切れないように気を付けながら。


「ふぅ。これで完成かな」

「マスターさん。手伝って頂いてありがとうございました」

「いえいえ、こちらこそありがとう」

ちょうど柚乃も紐の先をコンセントにさして、こっちに来てくれた。ニコニコしながらイロナに話す。

「イロナちゃん~。お手伝いありがとう!さ、このボタン押してみて」

「?」


イロナはさっき巻き付けた紐の先っぽに近い所にあるボタンを渡されて少し困惑しているが、柚乃のニコニコをみて、えい!とボタンを押した。クリスマスツリーが様々な色に光り輝く。



「わぁ~~~~~~綺麗!!!」



イロナは光り輝いたクリスマスツリーを見て大声を出して喜んでくれた。

「ね~綺麗でしょ~。これがクリスマスツリーだよ!」

「そうだな。これがクリスマスツリーだな。これを大体あと一か月ぐらい店に飾るから」

「一か月も飾るんですか!?毎日楽しみです!!」

イロナが本当に喜んでいる顔で話してくれて、柚乃と、もちろん僕もニコニコした。

この笑顔のために少し頑張ってクリスマスツリーを出したかいがある。

もう一度イロナを見ると、何も話さず、じっとクリスマスツリーの輝きを見ていた。

ここから一か月、少し楽しみが増えた。


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