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異世界喫茶「ゆずみち」~勇者と魔王が異世界転生を愚痴っています~  作者: 美堂 蓮


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order10. ホットミルクと親友

外は少しずつ緑が生い茂る季節となっているが、あいにくなことに雨が降っている。

お店の中にはマスターと勇者のみで他は誰もいない。

「マスター。いつものやつ頂戴」

「あいよ。ちょいとお待ちを」

マスターはアイスカフェオレを作り始める。勇者はその姿を見ながらふと質問した。

「あれ、柚乃ちゃんとイロナちゃんは?」

「ちょっと買い物をお願いしたから今はいないけど」

「外は雨なのに……」


勇者は窓から外を見ながら話した。マスターは申し訳なさそうに話す。

「急に無くなった食材があって……柚乃に頼んだらイロナちゃんもついて行くって」

「そうなんだ。二人が仲良くて良かった」

「二人とも姉妹みたいに仲良くて僕もほっとしてるよ。はい、アイスカフェオレお待ち」

マスターは作り立てのアイスカフェオレを勇者に渡す。

「これこれ!マスター。いつもありがと」

勇者はアイスカフェオレを受け取ってゆっくりと飲み始める。

勇者がカフェオレを飲んでいる間、カフェには静寂が流れた。


アイスカフェオレを飲み終えると同時ぐらいにカフェの扉が開く音がした。

「いらっしゃい。お好きな席へどうぞ」

マスターはいつも通りの言葉を投げかける。

扉の前には細見でありつつ全身に引き締まった筋肉がついていることがわかるぐらいに鍛え上げられた男性が立っていた。顔もイケメンな人物で細見の剣を携えていた。


勇者はアイスカフェオレの氷をがりがり噛みつつ、ふと扉の男性を見て話しかけた。

「また久しぶりなメンバーなことで。ルイ、おひさー」

ルイと呼ばれた男性は勇者の元に歩き、横の席に座る。

「勇者、お久しぶりです。この場所にいるとリリーとミアから聞きました」

「そうだろうと思ったよ。とりあえず何か飲むか?」

「いや、飲みに来たわけではないのですが……そうですね。マスター、ホットミルクはありますか?」

「あるよ。ちょいとお待ちを」

オーダーを受けたマスターはホットミルクを作り始める。


勇者はマスターの方を向きながらルイに話かける。

「ルイは他二人と違って俺のことを怒らないんだな」

ルイも同じくマスターの方を向きながら答える。

「そうですね。私も勇者がいない間に色々考えましたが、仕方ないと思っていました。あの黒騎士に勝つイメージが私には湧かなかったので」

「で、俺に何の用だ?あの二人のように会うだけのために来るお前じゃないだろう」

「ご名答です」


ルイは勇者の方を向いて真面目な顔で話し始める。

「最近、ノアの国が魔族に戦争を仕掛ける準備をしているとのこと」

「はぁ、またノアの国か。前のパラユニの一件で懲りたと思ったのに」

「パラユニ……あぁ、異世界から来た方々のことですか。あまり詳しくは知りませんが、いざこざがあったようで、結局前回は魔族を攻めずに終わりましたね」


勇者は痛みも傷もないはずの部分をさすりながら少し顔を歪めた。ルイは気にせず続けて話す。

「あくまで噂ですが……ノアの国が裏で奴隷商をやっているらしく、最近その奴隷商の馬車が何者かに襲撃され、かなりの損害が出たようです。それに怒った国王がその近くの魔族の町を焼き払うために軍隊を出すようです」

「……なるほど」


勇者は興味なさそうにアイスカフェオレの氷をガシガシ噛みながら返事をした。ルイは話し続ける。

「さらに、何やらパラユニを戦争に動員するように動いているようです」

「いや、無理だろ。パラユニはあんなバカな国王のために動くとは思えない」

「私もそう思うのですが……何やら嫌な予感がします」

「はぁ、面倒事になりそうだ」


勇者は残っていた氷をすべて食べきった。そこにマスターが現れる。

「ルイさん、ホットミルクお待ち。勇者さんもアイスカフェオレのお代わり入れてきたよ」

「マスター、さっすが!」

「マスターさん、ありがとうございます」

勇者とルイは同時にお礼の返事をして受け取った。


ルイは受け取ったホットミルクを一口飲んで目を見開いて呟く。

単純にミルクを温めたものというわけではなく、少し砂糖の甘さが感じられるうえ、若干のシナモンがかけられているため、香りがいい。


「これは……ミルクと言えども侮れないですね。とてもおいしい」

ルイは二口目すかさず飲み始める。その姿に勇者は笑った。

「美食家のルイがそこまで喜ぶとは。やっぱりマスターの入れた飲み物は一番うまいわ」

「そうですね。色んな各地のおいしいものを食べたり飲んできたりしましたが、これは絶品です」


ルイはミルクのカップを置いて、話の続きを話し始めた。

「で、勇者にご相談なのですが、勇者はどうしますか? 共に魔族を攻めますか?」

「答えをわかっていて聞いているだろ。それはないね。俺はこの二年ですっかり考え方が変わってしまったから」

「だと思いました。ミアから勇者が魔族を保護したという話を聞いた話は本当のようですね。あそこまで魔族を嫌っていた勇者なのに驚きです」


ルイは勇者の方をまじまじと見ながら答えた。勇者は手をひらひらさせながら話す。

「ルイが行きたきゃ行ってこい。すでに勇者一行はなくなったのだからそこは自由だ」

「いえ、勇者が魔族を守るというのであれば、共に行かせていただきます。また、ノアの国にいって情報だけ集めておきます。私も戦争は嫌ですからね」

「すまんな。頼んだわ」


勇者はルイの方を向いて頭を下げた。ルイはにこやかに笑いながら言った。

「いえ、勇者のお役に立ちたいだけですよ。親友として」

「俺はお前のような親友がいてくれて本当にうれしいよ」


勇者とルイは、共に飲みかけのカップをもって上に掲げた。そして勇者が声をあげた。

「さて、久々の二人の再開を祝して……乾杯!!」


ここは親友との再会も起こってしまう喫茶「ゆずみち」

さて、次はどんな仲の良さを見ることができるでしょうか。



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