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作者: 百日紅

 たとえば電車の中でさ、仲のいい友達とだべったりするでしょ? その友達はあたしよりも先に降りるわけ。ひとりになったら、もう立ってるのなんてかったるいから、空いてる席見つけて座るでしょ。スマホでラインしたりして。そんときのあたしの顔って、あんななのかな。友達の前にいる時とひとりになった時の顔って、あんなに変わるもんなのかな。別人って言ったら言い過ぎかなー。友達と一緒のときって、すっごく無防備な笑顔に見えるんだけど、実は顔面の筋肉フルに使って完璧な笑顔を演じてるだけなんだよな、きっと。そりゃ疲れるっつーの。だからあの子が目の前から消えて、もう演技する必要がなくなればとたんに表情が消える。全然消える。何にも無い。鉄の仮面をかぶったみたいに。冷たい表情ってゆー言い方あるけど、温度があるだけまだマシ。温度すら感じない顔。怖いとすら感じない。人を感じない……。

 なんか、ひとの心のすっごい深いくらーい淵の底をのぞいた感じ? 底なんか見えないんだけどさ。……ありきたりかな。でも、そう。背中をぞぞぞぞって気味の悪いのがはい上がる感じ。見たくなんかなかったのに、見るとも思ってなかったのに、油断してたら、目の前に無理矢理突きつけられた。ちょっと違うかな。軽い気持ちでのぞいてみたら、それがとてつもなくグロいもんだったような。うーん、これも違うかな。うまく言えないや。国語って嫌いなんだよね。難しいことばも知らないし、文章書くのなんてめんどくさいし。本読んでると絶対眠くなる。

 でも……。でも、あれは忘れないんだろうな。これから生きてくなかで、ちょっとした瞬間に思い出したりするんだろうな。

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