河童ライダー2
河童ライダー、木郷孟は改造人間である。
彼を「きゅうり男」に改造し、出荷しようとした『シュッカー』は世界征服を目論む悪の秘密結社である。河童ライダーは世界の平和のためにシュッカーと戦うのだ!
ゆけ! 河童ライダー!
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ジャジャーン!
『快奇! もも女』
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
街中の男たちが甘い匂いにつられてフラフラとその匂いのもとに集まってゆく。
その中心にいるのは桃の顔をした女怪人である。グラマラスな体型で露出の多い格好。そしてその部分は激しく強調されている。男たちはただそれを食い入るように見て、まるで意識を失ったゾンビのようだった。
「モモ、モモ、モモ~。桃李言わざれど下蹊をなすよ。バカな男どもなど、全て私のとりこ。こいつらに金を貢がせて、戦闘員にして世界征服してやるのだ!」
もも女は色っぽく高らかに笑った。
「待てェィ!」
突然の大喝のほうをもも女が振り返ると、そのビルの屋上には木郷孟が立っていた!
「でたなシュッカー!」
「お前は木郷孟ィ!」
「いくぞ! へんーしん。トォーーーっ!!」
木郷孟はビルより舞い上がり、地上にあるマイバイクにまたがる頃には、正義の化身「河童ライダー」へと変身していた。
河童ライダーは正義のために悪のシュッカーたちと戦うのだ!
激しい戦闘が始まるのかと思いきや、河童ライダーは息荒く地面に倒れた。いや倒れたというよりは悶えながら寝転んだと言うべきだろう。
「うう。もも女。俺に何をした!?」
「モモ、モモ、モモ~。私の色香に狂ったのよ。頭では逆らおうとしても体は正直なもの。男の悲しい性よ。今日こそ死ねェ! 河童ライダー!」
襲いかかるもも女! 危うし河童ライダー! 立て! ボクらの平和のために!
「タケシィッ! あの特訓を思い出せ!」
河童ライダーの耳に、おやっさんの声が届いた! 木郷孟は思い出した。おやっさんとの特訓の日々を!
「トォーーーッ!!」
河童ライダーはもも女を避けつつ、空へと飛び上がる!
「なに!? 私の色香をはね除けるとは!」
不思議なことがおこった! 河童ライダーはパック酒を呑むことにより、河童ライダーの秘められた能力を発動させ姿形を変貌させたのである!
「だ、誰だお前は!?」
「酔っぱライダー!」
河童ライダーの顔はほんのり赤みがさし、鼻の頭は赤々と輝いていた。そしてフラフラと左右に揺れ足元もおぼつかないようだ。
しかし酒に酔って脳がある程度麻痺することにより、もも女の色香に惑わされることがなくなったのである。
「私の色香の術、ピチピチピーチが効かないとは! しかしそれでは満足に戦えまい! 死ねィ! 酔っぱライダー!」
もも女は物理攻撃をしかけるものの、酔っぱライダーはフラフラとそれを避けてしまう。
「なにぃ!? 攻撃が当たらないだとぉ!?」
これぞ酔っぱライダーが特訓で習得した酔拳である。酔っぱライダーは千鳥足のまま叫んだ。
「勝負を決めるぞ! 覚悟しろ! 酔っぱライダー酔八仙拳!!」
酔っぱライダーのお銚子を象った杯手が見事もも女へとヒットし、もも女は飛び上がって地面にぶつかると同時に大爆発した。
酔っぱライダーが、マイバイクに股がると、その手には手錠がかけられていた。酔っぱライダーは慌ててバイクから降りるものの、怖い顔をした警察官はにらみ据えたままだった。
「あのすいません。押して帰ろうと思ったんですけど」
「みなさんそう言うんですよね。近いから大丈夫だと思った。少しだから大丈夫だと思った。その気持ちが大きな事故を呼ぶんです」
「いえ、あのう。シュッカーを倒すために。あの」
「あなたには黙秘権がある。あなたには弁護士を雇う権利がある。もし経済的に苦しい場合は公選弁護人をつけてもらう権利がある。ここでの発言は法廷で不利になる場合もあるのでそのつもりで」
残念。木郷孟はまたもや捕まってしまった。だけど木郷孟、正義とはなかなか報われないものなんだよ。だからくじけないでね。
◇
一方その頃、シュッカー日本支部の基地の中では軍服に身を包んだ大幹部『ポテト男爵』がもも女を倒されたことに大変憤慨していた。
「おんのれ河童ライダー! かくなる上は私自ら貴様を葬ってくれる! シュッカー軍団の恐ろしさ、思い知らせてやるのだ!」
と息巻いておりました。
【予告】
ポテト男爵は「かっぱえびチップス」に「河童ライダーカード」を付けて売り出した。純心な子供たちの射幸心を煽り、食べきれなくなったチップスを捨てさせ社会問題にするつもりなのだ。そんなことはさせない。河童ライダー頑張って下さい。
次 回
「ポテト男爵 チップス大パーティー」
書く予定無し!!