×2 甘ったるい
「はぁ...何だったんだろあの夢」
皆が学校で授業を受けているであろう時間に私は毛布に包まりながらそんな事を考える。
夢なんだからきっと答えは出ないだろうけどやっぱり不思議だ。
というか何が『魔法の夢』だ。結構な悪夢じゃないか。
...もう一度やったらどんな夢をみるのだろうか。
あの夢が偶然だという事が分かるかもしれない。
それとも今度こそ魔法少女になれるだろうか。
やってみようかな...。
私は砂糖水をもう一度用意してベットに戻る。
幸い今日は学校は休めたし二度寝だってしていいだろう。
そして私は甘い砂糖水を飲み、布団に潜る。
どうか、もうあんな夢は見ませんように。
ー☆ー☆ーーーーー
「んん...」
気付くと今度は真っ暗な場所にいた。
ただ今度は自由に動けず、立った状態で体ががっちりと固定されているみたいだ。
試しに見える範囲で辺りを見渡してもやっぱり何も見えない。
全てが黒の絵の具で塗りつぶされているみたいだ。
動くことが出来ないまま4分くらい経った頃だろうか。
上から合成音声のような無機質な声が聞こえて来た。
その声はまるで人の恐怖感を煽るような声だった。
「高内梨歩。二回目の来訪。
魔法少女の素質:あり」
二回目の来訪...?
昨日の夢も関係しているのだろうか。
「指定魔法能力が低いため、残機は10とする」
そう何処からか言うと、目の前にゲームのようなフォントで
「マジカルハート:残り10」
と表示された。
まるでゲームの残機みたいだ。
「マジカルハート...?」
随分と可愛らしい響きの言葉だ。
残り10という事はだんだんと減っていくようなものなのだろうか。
そんな事を何も言わないままずっと考えていると、
目の前が少しずつ明るくなっていることに気付いた。
それと同時に意識が貧血で倒れてしまったときのように無くなっていく。
きっと夢から覚めるのだろう。
私はそのまま薄れていく意識と力が抜けていく感覚に身を任せる。
「魔法少女化を開始致します」
意識がもう殆ど無くなった頃、私はそんな声を聞いた気がした。
ー☆ー☆ーーーーー
「.........あ...」
私は毛布の中で目を覚ました。
夢の内容は相変わらず鮮明に覚えていて、あの無機質な声もしっかりと耳に残っている。
少しの時間しか眠っていなかったのか、口にはまだ砂糖の甘ったるい味が残っていた。
結局魔法少女とか関係なかったのかな...。
「ねぇねぇリホちゃん。いつまでお布団に潜ってるつもりなの?」
突然すぐ近くから聞いたことのない高い女の子の声が聞こえた。
「誰ですか!?」
驚くあまり勢いよく毛布を捲って大声を出してしまった。
声のしたほうを見てみると、
其処には腰まである長いピンク色の髪に、星型のマークが浮かんでいる緑色の瞳といった
現実離れした見た目の女の子がいた。
その子は同い年くらいの子で、屈託のない笑みを浮かべている。
けれど私はその表情にどことなく背筋が凍り付いてしまうような緊張感と恐怖を覚えた。