復讐劇 オードブル3
木の影から1人の水色の髪の目がキリッとした20代ぐらいの男が出てきた。
「君がアラムが言っていた外民か。魔法の知識はあるみたいだがスキルは雑魚みたいだね。」
「最初からこそこそしてると思ったら王都のネズミか。」
「貴様!外民のくせに生意気な俺がアラムと一緒に始末してやる。」
「こっちも全力で抵抗してやる。」
「アラム・アシード・ビショップ」
その瞬間、彼は大きな盾と杖を手にしていた。やはりあの呪文は自分の役割の武器を精製するための魔法だったのか。しかし、そんな魔法は存在しなかった。昔より身分に応じた能力が与えられている。
そんな事を考えていたらいつの間にか青年は間合いを詰めていた。俺は盾に触れようとした瞬間手が信じられない勢いで飛ばされ手首の先が消えていた。
「うわわわわわわわわ————」
こんな能力以前は存在していなかった。あっても倍にして返す盾に付与する魔法ぐらいだ。しかし、今のは倍なんてもんじゃない。少し強くかすらせただけで手首から先が飛ぶなんてありえない。
「これは対人専用に王が我メルスに下さった盾なのだよ。お前ごときが太刀打ちできない。この盾は使用者以外の人間が触るとその人の触った部分から半径15cmの部分が吹き飛ぶ。だから、お前の手首はもうあははははっはーーー」と嘲笑を含んだ高笑いを上げた。
「やはり、お前らの王は先先代ぐらいから腐っているようだな。民を守るはずの武器が人を傷つける仕様になっていてそれをこんなゲスに渡したんだからな。」
「やはり、お前を処分するという王の判断は間違っていなかった。死ね」
盾を突き立てながら近づいてくる。つまり、俺の方があまりよく見えていないということ。俺はその隙を見て立ち上がるとメルスはすぐに気付き高火力の爆発魔法を放つ。
「消し炭になったか。」
砂煙が消え爆発の威力で小川に続く一本道が出来ていた。その先には人影が立っている。
「なぜ生きてる!?」
「ウォーターボールを形成しその中に入ったからだ。まあ、そのせいで小川まで飛ばされたがな。」
「そんな、どうして?杖からの攻撃は最速なのにどうして魔法を起動する事ができた。」
「お前は魔法の真髄が見えていない。」
メルスは奥歯を噛み締めこちらを睨んでいる。
「しかし、お前には勝ち目はない。俺にはこの盾と杖がある。そして、お前の攻撃は届かない」
「それはもう対策済みだ。」
とノアが言い残すと小川の方からメルスに段々と大きな影が木を押し倒しながら近づいてきた。