JOB.7:承諾シチャウ悲シサヨ。
「〈魔絡魔堂〉ってお前、〈魂喰の朧蜘蛛〉…荒鬼神じゃねぇか」
「その通り」
御影は手に持つ書籍を机上に広げる。
それは、魔都に潜む怪異現象の居所と驚異を記したモノであった。
「どれどれ…」
【魔絡魔堂】
東端の山間部に位置する無人堂。平安初期には人命を供物にしていたとの伝承も残っている。
この堂に巣食う〈怪異〉、〈大名朧蜘蛛〉は大変気性が荒く、前記の伝承もこれを静める為に行なっていたのではないかとされる。一般人が不用意に近付かないように、また〈怪異〉を抑え込む為に、封札師が属性札による五行結界を二重に設けている。指定厳重注意霊地。
「かー。どうしてこんな場所に宮大路の竜爺さんは…」
プカリと紫煙を燻らせながら、飛鳥が唸る。
「その本にも載っているでしょう?供物ですよ」
「…んだと?」
「要は〈朧蜘蛛〉を鎮めておくための生贄ですね。
おそらく、宮大路家は何代にも渡りそうしてきたのでしょう。
荒神を鎮める。其れが彼等の仕事なんですよ」
「…ハァ。アンタも嫌な仕事引き受けたね」
「まぁ、唯のお見送り、と思えば」
ポリ、と御影は頭を掻く。
「とは言っても、お見送りの場所は〈怪現象〉の溜まり場だぜ?
そいつらとの接触は必須じゃん」
飛鳥の眼差しは真剣だ。
「知っています。だから、此処に来たんです」
「……何?おい、まさか――」
飛鳥、眉を顰める。
「お手伝い宜しくお願いします、飛鳥さん」
頭を下げる御影。
「あァ!?ヤだよオレ、そんなのメンド――」
「頼れるのは飛鳥さんだけなんです」
御影の切なそうな表情に、ウッと飛鳥は顔を強張らせる。
「僕には…あなたしかいないのに」
カッと飛鳥の頬に朱が走った。何かを必死で押さえ込もうとしているのが見て取れる。
「く…っ…チッ、しょうがねぇな、もー」
はぁぁ、と大仰に煙を吐き出すと、飛鳥はなんとも形容し難い微妙な表情で言った。
諦めの境地のようだ。
「この貸しは大きいぜ?」
にやりと不敵な笑みが戻る。
「勿論。生きて帰ってこれたのなら、何でもしますよ」
「…言ったかんな?」
いつもの澄ました表情で、飛鳥は言った――
裏話。
飛鳥は、頼まれたら断れない性格(笑)
悪い子ぶってますが、基本良い奴ですね(^^)
煙草なんて、吸ってますが、あれは…ほら、あれですよ。
ん――…吸引薬!(なんじゃそりゃ)
未成年なのに煙草!?ではありませんので、ご安心を!(汗)




