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JOB.4:夜道歩ク。

宜しくお願いします、と宮大路 静香は白竜館を出てすぐに、再び頭を下げた。

「決して、気持ちの良い仕事ではありません。それに、命の危険さえ伴います」

静香は、あの壊れ物のような儚い声に罪悪感の響きを乗せる。

「大丈夫です。こういうのには、慣れっこですから」

思いを胸の中に隠し、気丈に振舞う。

造られる微笑。それは逡巡、憐憫を隠すため。

二人は夜道を歩き出す。特に当ては、無かった。

「慣れっこ…?御影さんは、普段からこのようなお仕事をなされているのですか?」

玻璃(ビードロ)の如き瞳が少しだけ大きくなる。どうやら、彼女も気丈に振舞おうとしているらしかった。

「ええ。日が出ているうちは、こうやって学生の振りをしていますがね」           

学帽の鍔を摘みながら、微笑む。

それを聞いた静香は少し俯き、もじもじもじもじと不審な動作を始めた。

「どうかしましたか…?」

「いえ、その…よ、宜しければ、普段演じている学校生活や、

お仕事の話を詳しく聞かせていただけませんでしょうか?」

――嗚呼。

御影は心の中で、天を仰いだ。

この年端も行かぬ少女は、このような普段、我々がしているような些細な一挙手一投足さえも、不安なのだ。

籠の中の鳥は、如何なる我儘も許されない。

御影はいたたまれない気持ちで、白い頬を若干上気させた静香の横顔を見つめる。

静香が、御影の視線に気付いた。

「や、やはり、駄目、ですよね。そうですよね、出会って間もない人に自分のことなんて――」

「構いませんよ」

「……え?」

「僕の事で良いのなら、いくらでも」

自然にこぼれる笑み。

御影は、その時見せた彼女の笑みを忘れる事が出来ない。

行き先は決まった。

今宵は、朝まで語り明かすことになりそうだ――





裏話。

その後、二人は警邏隊(当時の警察。お巡りさんみたいなもの)に補導されかけましたとさ。

ま、当然、御影が捕まるはずも無く。

おどおどする静香の手を引きながら、路地裏を駆け回り、どうにかまいたようです(笑)

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