JOB.13:死ニ往ク時ノ鳥ヲ嘆クカ。
――喧騒が、遠のいた。
御影と静香は、それでも暗闇の石畳を駆ける。
「はぁ…はぁ…」
静かの息は、もう既に上がっている。
しかし、我慢して貰うしかない。
辿り着く、もう少しまでの辛抱だ。
「あと少しです、静香さん」
「っ…は、はいッ」
歩調を少し、少しだけ緩める。
「大丈夫ですか」
身体の事ではない。
心の準備のことだ。
これからの、ことの為の。
「…はい、大丈夫です」
早足で、静かは歩く。
「皆さんの苦労を、無駄にはさせません」
その瞳には、強い意志が。
「……絶対に」
しかし、どこか切なげ。
御影は、視線を逸らす。
「未練は無いんですか」
この世に対して。
「別に、執着はありません」
〈ビードロノヤミ〉での、御影のような答え。
――辿り着いた。
蔦が絡みつく、忘れ去られた門の前に、二人は立つ。
「…どうして」
自分では、探し出せない答えを他人に求めるのはおかしことだと分かっていながら、御影は質問する。
それが、仕事ではいらないことだということも、十分承知している。
けれど、質問せずにはいられなかった。
「そんなの簡単です」
儚げな笑みが、御影を捉えて離さない。
「始まってもいないものに、終わりなんて無いんです」
静香が、御影を残し、門を潜った。
「私は、この瞬間のためだけに生まれた。人としてではなく、供物として、です。その仕事を今全うすることが出来る。それに、御影さんたちにも会えた…。私は幸せ者です」
その頬には、涙が。
「静香…さん」
静香を連れて、そのまま逃げ出したい衝動に駆られた。
必死で、抑え込もうとする。
駄目だ、感情に呑まれるな。
これは、仕事なんだ。
「ありがとう。さようなら」
頭を下げる静香。
「――けれど、願わくば」
静香の頭が上がる。
「――もう少し、あなたといたかったな」
叶わない願いと知る、寂寥とした笑み。
プツリと、何かの切れる音がした。
仕事?
そんなの、糞くらえだ。
どうでも良い、彼女がいてくれるなら。
御影は、遠のく彼女に手を伸ばそうとした。
――次の瞬間。
静香の姿が、掻き消えた。
裏話。
なんか、不吉な話数ですね。ま、気にしない(笑)
この回が、物語の確信のような気がします。
深いような深くないような(苦笑)
そして、ですよ。
仕事一筋を貫いていた御影君が、ついに(笑)
何かに目覚めましたね。愛の力?
著者にも分かりませんが、確実に良い咆哮に目覚めたと思いますよ。この調子で頑張れ、御影!(笑)




