JOB.12:往ケ、踊ル暇ナド無イノダカラ。
そこからは、障害物競走のようだった。
数多の〈怪現象〉が、御影達の進路を阻むように、石畳に姿を現したのだ。
先程と同じ〈風斬斑猫〉、〈蠕動百足〉をはじめ、
策を講じた、よろよろと歩く中型の腐鳥〈腐爛千鳥〉、
歪な影を立ち上がらせたような〈黒影紡〉、
予想もしなかった、カンガルーのような異形〈鬼足爪宿〉、
一角獣の如き〈狂騒角午〉が次々と襲い掛かるのを、避けて走る。
御影と飛鳥が、手分けして何とか凌いでいる、と言った風情である。
実際、前には一向に進めていない。
飛鳥の正確な局部射撃で、三次元の影の如き〈黒影紡〉が、力を失ったように揺らめき、消え失せる。足に絡み付いてこようとする濃灰色の〈腐爛千鳥〉は、近寄る前に全力で蹴り飛ばす。
「ちっ、埒が明かねぇ!オイ、淳一郎!」
〈狂騒角午〉の固い頭角での突進を玉虫色の嵐で吹き飛ばしながら、飛鳥が叫ぶ。
「何ですかッ?」
一方、返事をする御影も、漆黒の洋杖で〈鬼足爪宿〉の素早い身のこなしから繰り出される三本爪の攻撃を受け流しながらである。
洋杖の一突きが頭部に炸裂し、〈鬼足爪宿〉は、後方に吹き飛ばされた。
そのまま風に流され、霧散する。
「此処はさ、オレが引き受けるから、アンタはお嬢さん連れて、先に、行きなッ!」
紫煙を吐き出し、流れるような動作で発砲。
いくつもの薬莢が宙を舞う。
〈怪現象〉を周囲に寄せ付けない強さで、飛鳥は言う。
「…任せましたよ!」
しかし、等と言う野暮な事は言わない。
彼女の実力は知っている。
こんなことでは、やられない。
彼女は、御影に頼まれた自分の仕事を全うしているのだ。
自分も、見習わなければ。
そう、自分は自分のやることをする。
ここで、舞台を演じている暇など無い。
踊っている暇など無いのだ。
彼女を、無事送り届けなければ。
それが、僕の使命なのだから。
「さ、静香さん、行きましょう」
でも…、と戸惑っている静香の手を多少強引に引きながら、御影は石畳を駆けた――
裏話。
どんどん、化物が出てきますね。
名前のセンスはスルーしてください(汗)
このまま行くと、主人公(御影君)より、
飛鳥の方が強い気がするのですが(笑)
著者の気のせいでしょうか?
…頑張れ、御影!(笑)




