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爪痕

(敵だと思うし、多分敵だし、敵だろーから倒して問題ないよね?ね?


まぁ、今さらだよな。やった後にこういうこと思うのは。


そ・れ・よ・り・も!



ここに食べ物がない!



く、こんなことなら人間に加勢するぜ的なこと思わなきゃ良かった。とっとと人間側の食糧庫を襲撃しよう。


いや、襲撃といっても一人分の食糧をかっさらうだけなんだけどね。)



俺は再び空に飛び立つーーー。









もう夜が来ている。


月明かりが射している。


星がこの空を灯している。


空気が澄んでいる。



地上が戦場という地獄でなければ、腹が減っていなければ、感動できただろう。









ーsideノイルー


「シェルさま~。頼まれた物渡してきましたよぉ~」


 小走りで小柄な獣人の女の子がトタトタと走ってきた。


「あれ~?指令室の番人さんは?」


 建物の入り口近くまで来た獣人の女の子は不思議に思う。確か魔王様の一撃に耐えられる程の強固な防御力を持つ魔人と魔王様にかすり傷をつけられる程の攻撃力を持つ魔人がここの番人をしていたはずだった。


 どちらも戦争という集団戦には不向きな固有能力持ちのため、ここの番人をしていた。魔王城にいる時はシェルの担当フロアに入るための扉の番人をしていた。


「ん~?番人さんはトイレかな~?」


 小さな疑問を持ったが、さして気にせず建物の中に入る。


「…っ!」


言葉を失った。


壁が無かった。


シェルさまの姿が無かった。





「シェル…さま?」


 どこを見てもシェルさまのお姿が見えない。要らぬ不安がつのる。壁の穴を見てみた。そこには壁から一直線上に続く破壊の跡があった。なにも無い。ただ真っ直ぐに何も無い。


その破壊の後をなぞるように歩く。


空は茜色だが、地上はもう暗がりだ。


灯りも持たず、ただ歩く。


 もしかしたらという不安と焦りが込み上げてくる。徐々に歩く速度が上がり、駆け足になり、今では走っている。


「シェルさま!シェルさま!」


 いつまでも続く終わりの見えぬ一直線の道に声を出して名前を呼んでいた。息を切らせながら考える。


(何があったの!?私がシェルさまから離れてわず3()0()()()()()()内に!)


 やっと、やっと終わりが見えた。この破壊の跡の終わりが。



この終着点には何も無かった。




痕跡がない。



突如、この線が途絶えていた。



 もう、空も月明かりしかない。この暗がりで見逃してる訳ではない。彼女は獣人だ。この程度の暗さではほとんど昼間と同じくらい見えている。


一応、魔法で辺りを照してよく見てみたが、やはりない。


索敵魔法や固有能力で探してた。



だがない。


痕跡が。


ここで途絶えている。



「シェルさま…」



考えても考えてもわからなかった。












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