アイテムボックスはこう使う⑤~魔王蹂躙~
アイテムボックスはこう使うのが正解だよね?
「あとはあの城と中にいるやつらだけだ」
空でアイテムボックスの上にいた俺は蹂躙された戦場へ降りる。
「ええ、城も私一人で落とせるわ」
「いや、レヴは見てるだけでいい」
俺は手をかざし、小さいアイテムボックスを出現させる。掌より小さく、指先よりも小さい。それを城に向かって動かす。
すると城に小さな穴が空く。
次は同じくらいのサイズのアイテムボックスを千個程出現させ、同様に動かす。
すると城に千個程穴が空く。
次は同様のサイズのアイテムボックスを『城を囲むように』出現させ、城に向かって動かす。城を囲める程の量。万は超える。
すると城に無数の穴が空く。
更に次は城の上空にアイテムボックスを無数に出現させ、城に向かって動かす。それを何度も何度も繰り返す。
城の原型が無くなるまで--。
それはまるでどしゃ降りの雨のようで--。
絶望の雨が降り注いだ。
-アイテムボックス-
アイテムボックスを手元に出現させたまま歩くことはできるのか? 答えは--
できる。
なら同様に走っている時もできるし、空を飛んでいる時もできる。あるいはしゃがみながらでもできるし、立ち上がりながらもできる。攻撃をしている時もできれば攻撃をくらっている時もできる。更にはジャンプしながらでもできるし、落ちている時でもできる。敵を吹き飛ばしている時もできれば、敵に吹き飛ばされている時もできる。
つまりこれは『無意識』に前後左右上下にアイテムボックスを動かしていることに他ならない。そして『移動速度』はどんなに低速だろうがどんなに高速だろうがぴたりとついてこれる速度。
で、あれば『意識』して、前後左右上下に自由に動かすことができるし、どこまでも『ゆっくり』動かすこともできればどこまでも『早く』動かすことができる。
そう……音速を超えた速度で動かすことも可能。
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レヴの視界からだと砂塵しか見えず、絶え間なく、アイテムボックスが城に『着弾』している音しか聞こえない。
地面が震動している。アイテムボックスが大地を弾いているからだ。地面というのはアイテムボックスに入らない。よって弾かれる。ただそれだけのこと。
レヴの近くに小さな城の破片や何かの肉片が飛んでくるが、さして気になる程の大きさではないし、砂煙が全身を覆う前にマスターがアイテムボックスで弾き飛ばす。レヴは砂塵の中に見える城の影の形が崩れていくのをただ茫然と見ているだけだった。
城があった地形は凸凹のクレーターが出来ていた。
マスターはアイテムボックス一覧を見て呟く。
「魔王つっても姿を見る前に終わっちまったな」
次話は来週金曜17時~24時の間に投稿
『お前はもう、死んでいる』もよろしくね
(やべー、シナリオはなんとなくできてるけど書いてる時間ねー。まぁ、頑張って上げます)




