レヴの強さ③
『盾』使いと『魔法』使いを同時に血を抜いて殺す。レヴの失われた『血』と『魔力』が回復する。
「やっぱ、人間じゃないから馴染みにくいわねぇ。この血。…まぁ、いいわ。魔力は回収出来たし」
レヴが『九番』の後ろに無傷で立っていた。殺した二匹の前にいたはずの『弓』使いの姿が消える。『魔法』使いが生み出していた幻覚。もしくは幻影。『弓』使いの本当のいる場所はもっと離れたところにいる。
そして、一早くレヴに気づいた『鈍器』使いが一歩前に足を踏み出したその時、その瞬間、数十匹のコウモリが『鈍器』使いの脳みそをぶちまけながら『鈍器』使いの頭から飛び出してくる。
一連の動きが全て同時に行われた。
『剣』使いが動揺して反応が遅れる。レヴのセリフが聞こえた方へ振り向き、振り向き様に剣を横に振るう。『剣』使いの剣は空を斬り、『剣』使いの頭が宙を舞う。
『剣』使いが最後に見た光景はコウモリ数匹が『弓』使いの首を持って空を飛んでいたのと、両断したレヴの頭が血に変わる瞬間だった。『剣』使いの頭が地面に落ち、『剣』使いの目から光が消える。
レヴは『血』と『魔力』の補充を済ませて『九番』を蹂躙した。
「ふぅ。私に掛かればこんなもんよね」
レヴは顔を上げ、マスターを見上げる。するとマスターが降ってきた。アイテムボックスを拡げて。
「あれは意味が分からないわね」
レヴが呆れる。そしてこの戦場にはアイテムボックスとマスターしかいなくなる。あったはずの戦闘の痕跡は全て消え、あったはずの死体も全て消えた。
すぐにレヴの視界が明るくなる。目の前に入ってきた光景は紙だった。そしてマスターの声が聞こえる。
「レヴ、次のクエストはこれにしよう」
そう言われて目の前の紙を受け取り、内容を読んでみる。
「えーと。…………」
-レヴ・ヘルマイン-
種族はバンパイア。
種族特性により、『影に潜る』・『コウモリになれる』・『自分の血を操れる』。ただし、レヴ程高度に種族特性を活かせるバンパイアは少ない。
魔王の教育により『血を操る』能力に至っては血をナノ粒子レベル単位で正確に操れる。バンパイアは心臓が止まっているため、本来は自らの血液循環をするために使う能力である。
『コウモリになる』能力は血を利用すれば自分自信じゃなくてもコウモリを造れる。本来は自分の身体がコウモリになるという能力。
『影に潜る』能力は生物の影に潜れるというもの。その潜った生物の影から別の生物には移動出来ない。ただし、レヴの場合は自分の血で造ったレヴの偽物の影に潜り、相手の影に移動出来る。
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「そう、次はドラゴン退治なのね。…………って、ドラゴン!?」
次話も金曜17時に投稿
もうちょっとで魔王城を………




