アイテムボックスはこう使う②~モンスターハウス偏~
金土日投稿の金曜日
今、俺はレヴとダンジョンの入口にいる。え?あの後?想像通りにメシ食って、想像通りの宿での出来事があって、想像通りにレヴの服をあの高性能洗濯機で洗って、想像通りにまたレヴをアイテムボックスに回収して、想像通りにダンジョンの近くまで来て、想像通りにレヴを取り出した後の漫才して、想像通りに今ここにいる。
ちなみにレヴの服装は黒をベースに赤のラインがオシャレに目立つ軍服みたいな服だ。なんでも魔王軍の軍服なんだとさ。体格的に着れる魔族が少ないらしいけど。
え?レヴの下着がどんな形で何色だったのか教えろだって?…仕方ないなぁ。レヴのパンツは---…。
「マスター、なにそこでずっと突っ立ってんのよ。行かないの?」
「ん?ああ、そうだな。こんな入口にずっといても仕方ないな。」
俺はレヴに促されてダンジョンへ入る。おらぁ、ワクワクすっぞ。あの『冒険譚』の主人公みたいな冒険が待っているからな!
ダンジョン内は魔力光石で明るかった。
魔力光石とは魔力を帯びると発光するただの石。主な使われ方は閃光弾の原材料だ。ダンジョンに入ればすぐに手に入れられるため、フラッシュバンの単価は安い。冒険者は大抵1つは身に付けている。
そんな明るいダンジョン内を歩いて俺はわざとトラップを踏む。
カッ-。
足下の魔方陣が突如耀きだす。当然の如くレヴが慌てふためき、ツッコミをする。
「え!?はぁ!!!ちょっ。今わざと踏まなかったぁあ!?ねぇ!なんでわざと踏んだよ!?マスター!これ、転移の-…。」
レヴのツッコミが長すぎて最後まで言い切れず飛ばされる。
そう、レヴがツッコミした通りこのトラップは転移のトラップ。ただ、飛ばされるだけ。
モンスターハウスに。
『モンスターが4、50匹いた。背後は壁、目の前にモンスターの大群が、出口はその大群の後方。外に出たければこの大群を切り抜けなければならない。さぁ、どうする?冒険者よ。』
「って言う状況で武器を使って切り抜ける描写があの『冒険譚』にあってさ、それやってみたかったんだよ。レヴ。」
今回は俺はレヴに『なんでわざと転移トラップに掛かったか』という質問に答えてあげた。
転移トラップの魔方陣は図鑑に載っていたからすぐわかった。結構わかりやすいんだよ、この魔方陣。
で、質問に答えたというのにレヴはツッコミの手を緩めない。
「あの『冒険譚』って、どの冒険譚よ!」
「ん?あれだよ、あれ。」
「あれってどれだよ!マスター!っつーか、どーすんのよ!この状況!」
『やれやれ、レヴの質問に答えていたら敵が戦闘体勢になってしまったよ。』のポーズを取りながらアイテムボックスを出す。いや、本当にもう一斉に飛び出してくる5秒前、みたいな感じだ。
「どーするってこーするだけだ。」
俺はアイテムボックスから武器の鋒を出した。俺の側面や頭の上にも同様に。その数、30ヶ所にアイテムボックスを同時に出現させる。
レヴが間抜け面して間抜けな声をあげる。
「ふぇ?」
「「「グギャー!キシャー!」」」
「ちょっ、いくらなんでも私でもこの数はむりぃー!!!」
モンスターが一斉に襲い掛かってくる。随分と間抜けな戦闘合図だったが仕方ない。
俺は武器の鋒をだしたアイテムボックスから『アイテムを入れたくないものと認識して武器を射出する。』
ドッ。
ドッドドドドドドドッ---!!!
向かってくるモンスターに武器という弾丸で撃ち抜く。飛び出した武器がモンスターにヒットすると、当たった箇所が弾け飛ぶ。
腕に当たれば肉が千切れ、骨が砕かれ、腕が飛ぶ。胴体に当たれば風穴が開き、体重の軽いモンスターなら身体ごと吹き飛ばされる。
次々とモンスター達が死んで魔石化していく---。
『数の暴力』
圧倒的物量でモンスターの大群を蹂躙する。最初はモンスターの群れに数で負けているように見えたが結果はどうだ。一方的過ぎる。無双状態。
まだ弾はある。あの戦場で拾ったお陰であと数万発はある。このモンスター共を蹂躙するのに100発もいらなかった。
その様を後ろで見ていたレヴはやはりというか、当然というか、なんというか…。予想通りにツッコミを入れる。
「………………………………………………………………………………………………っはあ!?意味がわからないだけど!?」
「間がなげぇよ!」
俺はツッコミを入れてしまった。
アイテムボックスって宝具はしまってないから射出できないけど武器なら射出できるよね?
明日12時投稿




