プロローグ
初心者なので大目に気長に見ていただければ幸いです。
ド田舎と言うほど田舎ではないが建物が建て並ぶ中を少し進むと田畑や山が見えてくる。そんな町に蝉の鳴き声が訪れる頃、小さな町の高校に、珍しく転校生がやってきた。
始業のチャイムとともに女教師が教室のドアを丁寧に開けて入ってくる。
「皆さん。おはようございます。もうすぐ夏休みですが気を引き締めて授業を受けてくださいね。さて、そして今日は、転校生が来ています。皆さん。きっと驚きますよ?」
そんな女教師、山口千春の前振りのあとみんなの視線が扉に集まる。颯爽と扉をあけて入ってきたのは見覚えのある女性だった。
いや、忘れるわけがない。昔、この古い田舎から転校していった、この学校のマドンナといえる存在。白石 彩女なのだから。
「…久しぶりみんな。戻ってきました。また、よろしくお願いします。」
まつげの長いクリンとした瞳、筋の通った鼻、傷みがなさそうな綺麗で肩口で切りそろえられた黒髪をなびかせながら教室の真ん中を通り、一番後ろの空いている席に座った。
彼女はここにいる誰よりも美しい。いや、世界中探してもこんなに綺麗な美人はいないだろう。そして、穢れを知らない美しい肌が彼女を構成している。その全てが神様が愛をこめて造った美の結晶。
彼女が戻ってきただけでこの狭くつまらない箱庭に、新風を呼び起こされた。
しかしそれは、これから起こる嵐の前の静けさのように、有象無象の思惑が彼女を台風の目として渦巻いていこうと燻っているようであった。