たった一度のラブソング。
「ムラカワさんは私のものです」。
「風邪、大丈夫ですか」。
「今から、家におじや、作りに行きますね」。
「ムラカワさん。私のこと、好きですか」。
「私はムラカワさんのものです。おごり。おごり。ムラカワさんのおごり。おごり」。
『あのなぁ、そんな金、僕にはないよ。それだけ、ドライブ、連れってったるわ』。
あの日、美穂と見た『ビューティフルライフ』。
美穂は、僕に、目玉焼きを作って、気さくに笑う。
「一生懸命に作ったんですよ。食べなきゃ、しばきますよ」。
これが愛の形なんだろうな。美穂は。
美穂は、カクテルを飲み干し、自由に笑う。恋物語の主人公は誰だ。足がシビレる。
キムタクさんはカンペキ主義者。僕も髪を切らなかった。
ありあまる、時の個性と話術のハテナ。焦らずに焦らずに。
僕は僕であって、他の何者でもない。
美穂は美穂であって、他の何者でもない。調子に乗らずに美穂と牛丼屋。
二時間、美穂に待たされた、ロッテリア。電話しても出やしない。
はい。ここで休みましょう。僕は画家なり。です。僕の初めてのフォーラスの個展に美穂の存在あり。
コメント欄に美穂から貰った愛しき、言葉。
「ムラカワ節でした。よくできました。たまには、誘ってくださいね。ムラカワさんのおごりでファミレス、連れてってください。私、ハンバーグ、大好きなんです。勿論、ハンバーガーも。ロッテリア事件、反省してません。今度、通天閣に連れてってくださいね。美穂より」。
美穂という名のあいつ。氷結、飲んで、笑いに笑う。はるちゃんが帰国。ありがたい、メールあり。
マクドナルドで、ポテトを喰らう。もう、朝の四時かよ。
結局、美穂は、僕のものだったんだろうな。春夏秋冬、僕のもの。
クッサイ、事は言いたかないよ。
あの日の、おじや、美味かった。
美穂へ。今、お前がこの部屋にいるのなら、僕は、もっと、詩を刻む。
またな。