所持0枚 何言ってるの?
私は、自宅のリビングで里中礼二という、人?まぁ霊体っぽいのとむかいあって話していた。
「つまり、里中さんは昔からの封印師の家系で?代々封印してきたモノを、間違えてその封印を解いてしまったと。」
「うん。」
「で?なんで私が魔法少女になることに、繋がるんです?」
それが不思議だ。しかもなんだ魔法少女って…。そういうのは可愛い光がやるべきだ。光の魔法少女コス…。ありだな、うん。寧ろご馳走様です。眼福だ。
「なんで鼻血出してるの?」
「おっとこれは失礼。」
「い、いや大丈夫だ。」
光のコスプレを想像して鼻血が出てしまった…。いかんいかん。そして引いているのが丸分かりですよ?
「話を戻すけれど、封印されたモノをこの国から出さないための結界維持で僕が動けないんだ。」
「え?動いてるじゃないですか?」
「これは、僕の式神。本体じゃない。“普通の人には見えない”けれど、“見える人には見える”。」
「式神…。あ、だから一定範囲を越えるし、建物に不法侵入できるのか…。」
「ふ、不法侵入。」
だってそうだろう。あれ、これってつまり、着替えとかお風呂とか、覗き放題なのでは…。
「へ?なんで距離を取るのさ?」
「HENTAIめ!」
「いきなり、何!」
「自分の胸に聞けばいいさ!!」
ついでジト目も追加しておこう。
「多分冤罪だから!!」
「多分?やはり初犯ではないのか…。うらやまけしからん。いいぞ、そこ変われ!」
「何を想像してるのか分かったけど、そんなことに使ったことないから!!」
「はぁ?!“そんなことだ”?!お前さんちょっと表出な?」
「君キャラ壊れてない?!」
「キャラ?んなの大した問題じゃない!それよりも、なぜその能力を覗きに使わない?」
「あ、ダメだこの子…。中身が終わってる…。」
ああ、その力があれば、例えば光とか、あの子とか…ぐへへ。あ、あの巨乳モデル体型の森脇先生もありだな…。ジュルリ…。
「はぁ、話し戻すよ?」
はっ!トリップしていた。女の子として終わっている顔してた気がしたけど、気にしない方向で。
「で、なんでしたっけ?」
「急に素に戻るね…。まぁ、つまり僕の代わりに封印をしてもらう人を探しているんだ。」
「ん。続けて。」
「なんでシリアス風なんだよ…。で、奴らは“普通に見えない”上に、魔力が無くならないと、封印できない。」
「魔力?なにそれ?」
「うーん。簡単にいうと、特殊な力のもとかな。」
特殊な力のもと…。私が見えるのも魔力があるからってことかな?
「ふむ、続けて。」
「だからなぜ、シリアス風…。はぁ~、魔力があると、見えない霊体が見えたりとかの異常なことが起こせるようになるんだ。」
あぁ、やっぱり。
「で、封印してもらいたいモノ達は、人とか霊体の魔力を貯める。結界を張り、自分の住居として形成する。それが肥大すればするほど、現実に干渉し始めるんだ。そこで君にこれを。」
「これは?」
里中さんはそう言って、私にペンダントを差し出してきた。赤い宝石が菱形にカットされていて、それが銀かな?で縁を固定し、チェーンで首に下げるタイプのようだ。
「それと、これ。」
そして出されたのは、四枚のカードだ。
一枚目は、檻に入れられた骸骨が鎖に繋がれている絵が描かれており、その裏は太陽みたいな柄があり、左上と右下に六と書かれたカード。
二枚目は、鎧を着た騎士のような人物が鞘に入った剣を地面に突き刺すように立っている絵。裏は何も描かれておらず、角に数字一のみがある。
三枚目は、白い虎が森の中で威嚇するようにこちらを見ている絵に、裏は月と星が描かれており角に九と描かれている。
四枚目は、少女と白馬が描かれている。白馬は少女より大きく、少女に頭を撫でられている。裏は、五角形や三角形とかなんかいろんな図形が、ごちゃごちゃした感じで、これも角に十三と書かれている。
(各数字は、ローマ数字だ。)
「このカードが、やつらを封印した後のものだ。ペンダントは簡易の結界侵入用装置とカードを使うためのものだ。」
「へ~。あれ、使う?」
「そう。やつらの魔力を消費させるには、戦うのが一番の近道だ。生身じゃ戦えないから、カードの力を借りて、魔法少女になる必要があるんだ。」
「…。ねぇ、このカードはどうやって封印したの。」
「あぁ、その四枚は正規の方法で封印できたんだけど、五枚目に入る際にミスちゃってそれ以外の封印が解けちゃったんだよね。はは。」
おい、イケメン。笑って許されるのは学生までだぞ?という念を込め睨む。
「だ、だって花粉症だったんだから仕方ないじゃん…。」
あぁ、花粉症ね。あれは辛い。だがしかし、“じゃん”って何?そこは美少女が言って下さいよ!イケメンテメェはお呼びでねぇんだよ!!
「また理不尽に怒られている気がする…。」
「はぁ~、で?どうやってこれ使うの?」
ホント美少女が説明してくれないかな…。イケメンが説明とか一般向けじゃん…。
誤字報告、感想など、お待ちしております。