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幕間:神聖叙事詩より抜粋
かつて太陽は永遠だった。
大地は麦穂のごとく火と燃えて、
水はとこしなえに澄んでいた。
ところが嵐が夜と与して
太陽を弑すると、
暗き磐屋に玉座を移してしまった。
闇に侵された空には、
代わりに白銀の僭主が造られ、
水は濁り、火は地を灰にしてしまった。
しかし金の踊り子が祈りを捧げると
太陽は黄金に甦り、
嵐を払い、僭主を捕らえた。
厳粛かつ慈悲深き太陽は、
僭主を許して月と名付く。
かくてふたつの星は昼と夜を巡察し、
ふたたび嵐が来ないように備えている。
いまもまだ、いつまでも。