070 エピローグ
目の前には、白いウェディングドレスに身を包んだ少女の姿があった。
少々顔を赤らめていて、その足取りは何度も練習をしたはずなのにおぼつかない。
頭の月桂冠は現聖巫女からの贈り物。魔道具の一つで、彼女に祝福を与えてくれる逸品だ。
俺に文通で「シルヴィーアマテノヴァル姉さまのことを頼みます」と言われれば、もちろん承諾するだろう。
彼女は、今日から。
あと数分で、俺の妻になる女なのだから。
「やっぱり、美しいな」
こちらに歩み寄ってくる彼女を見て、そうつぶやいた。
ベールの中に隠されている顔であっても、そのくらいは分かっている。
俺には親がいない。この世界にはいないし、さらに師匠という存在もいない。
代わりに、存在するのはセシルバという。この世界で初めてであった命の恩人だけだ。
「セシルバ、ありがとう」
「なんのー」
気にするな、と彼は言って大きく翼を広げた。
このあとスタント飛行も準備しているというのに、付添人で来てくれるとは本当にありがたい。
逆に、シルヴィーアマテノヴァルにも親はいない。
この世界にうまれてから、ずっといた聖神殿のひとびとは神殿から出て来られないため、今回はシアンティーシャテンが代役を務めていた。
俺は彼女に近づき、ベールをたくしあげ、一瞬だけだが感情に押し流れそうになる。
「……さあ、行こう」
俺達の、未来へ。
本当はもっと続けたかったのですが、諸事情のためここで完結します。
というのも、まあわかる方がいるとは思いますが
あと、この作品の設定をもう一度練りなおして、登場人物を変えて新作書きます。
何卒、これからもよろしくお願い致します




