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013 魔導製の糸

「ヘイト管理は任せたぞ」

「そんなの、あなたにはあまり関係なさそうですけれどもね!」


 ロザリオから皮肉を投げつけられ、しかしアヴェロン自身は魔王のようなほほ笑みを見せていた。

 ひとつはルカのためだ、不敵な笑みを見せることによって彼女を安心させるという目的がある。

 そしてもう1つ、真の狙いは。


 自分の心の余裕をつくり、視野を広げるだけだ。

 できるだけ少ない被害の中で、早く(ドラゴンを討滅する。

 そうしなければ、王都が悪夢にへと変貌してしまうのは、誰もがわかっていた。


「てんしゅーは、あれだあれ。その魔石を破壊してくれ」

「え、でも」


 龍の魔石は貴重な魔武具の材料だ。もともとは龍の魔石、つまり(ドラゴン自身の魔力の源なのである。

 それをどうにかして破壊すれば、劇的に弱体化するというもうなずけるだろうということだ。


「このドラゴン、魔石が合計6つあります」


 ルカが、魔石の場所を確認してこちらに情報を送ってきた。

 アヴェロンは2人に魔石の破壊。とくにルカには砕け散った魔石の回収も頼んでロザリオとともに上へ。


「よう、数年ぶりだな」


 全く違う個体だが、前のものと同じ種別、同じ場所から出てきたものだ。

 親戚か何かだろうと判断した上で、そう声をかける。


 (ドラゴンの咆哮に返事をするように、一斉に斬りかかった。

 アヴェロンは、それこそ嵐のように襲いかかる。一歩も(ドラゴンをこれいじょう通さないつもりなのだ。


「2本の首が厄介ですね」


 ロザリオはほとんど魔法を使わないため、身体能力のみで宙へと舞っていた。

 使うものは使う。アヴェロンから許可をもらって、数個の魔紋獣器ビーゼスを足場としても利用しているためか、その動きは稲妻とも例えられるだろう。


 とにかく、動きが速い。


「縫い合わせよう」


 とんでもないことをさらっと言ってのけたアヴェロンは、魔導製の糸を紡ぎだした。

 それを見かねてか、ロザリオは(ドラゴンのヘイトを操作するために飛び回る。


 (ドラゴンに対してはハエ程度の存在ではあるかもしれないが。彼らはすでに勝てているのかもしれないと自覚していた。


 前よりも、身体的にも魔導的にも、成長しているのだ。

 相手の攻撃が遅くみえるし、それに対して確かに自分たちのほうが早く動けている感覚がしていた。

 だからこそ、こうやって悠長に動くことも可能なのである。


「できた!」


 魔紋獣器ビーゼスたちを操作して、暴れまわるドラゴンをぐるぐる巻にする。

 魔導製のそれは、どんなに相手が騒ぎ立てようが何をしようが、一向に千切れる様子を見せない。


 魔導は生きているのだ。だからこそ、その糸も生きている。

 そして、この世界にそれが存在し続ける限り、急速なスピードで硬さを成長させているのだ。


「……早く、終わらせよう」


 アヴェロンは淡々とした顔で、下の様子を観察する。

 てんしゅーとルカはちゃんと任務を遂行してくれたらしい。


「さて、仕上げに入りますか」



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