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晋は平和で良い処也

「晋は私が望んでいた平和な処で、本当に素晴らしいですね」

 私もとい俺こと劉禅は司馬昭殿……いやさ、司馬昭に招かれた宴会の場にて、かつての部下の……鶏肋壱、鶏肋弐、鶏肋参と以下省略と、司馬昭とその部下の目の前で、後ろから『ありがたい言葉』を『ご丁寧にも耳元で』囁きやがった郤正にも、どれだけ耳の遠い輩にも聞こえるような大声で良い放ってやった。

 皆が黙ったせいか、演奏され続けていた蜀の曲がやけに響くが、別にそんなことは問題ではない。蜀の曲は懐かしいかと聞かれれば懐かしいが、蜀に帰りたいかと問われれば否だ。

 何故か? 俺は蜀が……というより、親父の作った国が大っ嫌いだからな。

 赤子だった俺を投げ捨てやがったりあくまでも一武将である趙雲さんと息子の俺を秤にかけた挙げ句趙雲さんを選びやがった親として失格な奴。さらに君主としての評価を言えば、義弟を斬られたという乱世の君主にあるまじき理由で大軍を挙げて行った挙げ句人材の大火葬をやりやがった馬鹿。

 何を血迷ったのかそんな親父の後を継いで、内政の合間に北伐という名の旅行に毎年のように出掛けては自分の階級を(名前だけ)降格させてた内政担当の孔明さん。……まあ、内政担当の孔明さんは内政だけやってれば、ただただ有能な人だったんだけどな……

 それと、よかれと思ったのか俺に内政判断を全部任せて勝手に北伐を好き勝手やった挙げ句、馬鹿みたいに馬鹿な北伐を馬鹿な兵力で実行しやがった生姜野郎。とりあえずお前が手を組もうとしてた奴の悪口を兵士に吹き込んでおいたから精々頑張れよ。先に地獄に行ってろや。

 あと勝手に俺の決定を曲解しやがった挙げ句独裁者気取りやがった黄色いの。劉禅さん怒ってないからバラまいた金全部集めて適当な門の前で足首縛って吊されながら待ってろよ。劉禅さんが直々に肩叩いてやるから。勿論焼けた鉄の棒で。

 ああもう、愚痴ばっかになったが内政担当の孔明さんとか趙雲さんとか弓好きなおじいちゃんとおじいちゃんに付いて来たギエンさんとか、マトモな人もいたんだが、それでも……つーかだからこそ今の成都には帰りたくないし還りたくない。

 ああチクショウ、昔は良かったよ本当に……

「劉禅殿、何故に今更泣かれるのだ? もしや、蜀が……成都が恋しくなられたかな?」

 ……あーめんどくせー……答えなかったら首飛びかねないし、恋しいって答えたら首飛びかねないし、恋しくないっていったら後ろから刺されそうだしなー

(殿、蜀に帰りたいと嘆願すればおそらく見張りをつけてとはいえ帰られますぞ)

 その時俺は棺桶の中だろうけどな!

 さっきから思っていたが、後ろのこいつは間者スパイか何かか?

「……蜀の地が急に懐かしく思えてきまして……(あ、涙が止まった……ま、いっか)」

「ハハハ! ではあのような退屈な土地の事を忘れられる程に飲み交わそうぞ!」

「ハハハハハ」

 ざまあみろ郤正。黄色いのに好き勝手される様を見て判断してたのか知らんが、俺は暗愚でも凡愚でもないからな。

 そしてざまあみろ親父。ざまあみろ黄色いの。俺は蜀にいては得られなかった平和な世を謳歌してみせるからな。



 この時劉禅は57歳……その後、安楽公に幽閉された後、65歳でこの世を去った……この頃の後継者争いでもよくあった事とはいえ六男を後継者にしようとした為に一悶着あったが、とある名族のようによくある事であった。


『阿斗ラク=ナクア』……ふふっ、言ってみただけ(ムーミン感)

とりあえず劉禅さんを和久名風に改変してみた。劉禅さんというよりむしろ黄色いのこと黄皓に責任押し付けたという感じもしますが……


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