第1巻 第7章 — 覚醒者の学院
デイビッドは彼女を見て、心の中でつぶやいた。
「どこかで見たことがある…でも、どこだ?」
突然、巨大な学院の門が開き始めた。デイビッドはそれをじっと見つめ、ゆっくりと広がっていく様子を見守った。
門が完全に開くと、二人は中へと歩みを進めた。進みながらデイビッドは心の中で思った。
「この学院…美しいな。右には訓練場、左には静かな庭園か。」
小さな橋を渡ると、彼は学院の正面玄関にたどり着いた。
中へ入ると、広大な回廊に同年代の子供たちがあふれていた。
歩きながら、彼はいくつかの会話を耳にした。
「どうやって序章を突破した?」
「本当に大変だったけど…なんとかやり遂げたよ。」
それを聞いたデイビッドは彼らに視線を向けた。
「貴族の子息たちか…驚いたな。生まれた時から序章のために訓練してきたのに、それでも怯えているのか?」
そう思いながら、彼は食堂へと向かった。
噂話や他の生徒たちに興味はなかった。
彼が望んでいたのは――食事と眠れる場所だけ。
食堂に着くと、トレイを手に食事を取り、辺りを見渡した。どの席も埋まっていたが、青い目隠しをした少女が目に入った。
彼はその隣に腰を下ろし、黙って食べ始めた。
心の中で考える。
「彼女は予言者か…黄色い髪、青い目隠し、それにあの衣装…。未来が見えるのなら、貴重な仲間になるかもしれない。
だが…今考えることじゃないな。」
食事を終えると、デイビッドは講堂へと向かった。そこでは、新たに序章を生き延びた者たちのためのオリエンテーションが行われるのだ。
扉は開かれていた。
彼は中に入り、後方の席を見つけて腰を下ろし、待つことにした。
二十分後、広間は生徒で埋め尽くされた。
そこへ、一人の男が現れた。五十歳ほどに見えるが、巨躯で筋肉は隆々としていた。
「まずは自己紹介をしよう。私は南東部軍の司令官、ヴィンセントだ。」
その名を耳にすると、貴族の子供たちがささやき始めた。
「まさか…“チタニウム・ヴィン”か? 南東部が襲撃された時、彼はほとんど一人で敵軍を壊滅させたって聞いたぞ!」
「では始めよう。
まず、序章を突破したことを祝おう。今年は千人以上が入学した。
だが…次の試練はまるで違う。生き残れるのは百人だけだ。」
広間に沈黙が走った。
デイビッドは愕然とした。
「たった十パーセント…?」
「そうだ。つまり、生存率は一割ということだ。厳しい話だろう。」
「一か月後、満月の夜、お前たちは“運命の試練”に送られる。それまでの間、我々講師陣ができる限り鍛えてやる。」
「解散だ。」
生徒たちは一斉に退出し始めた。
その時、回廊に声が響いた。
「まだ属性適性の検査を受けていない生徒は、第七教室へ向かえ。」
デイビッドはその声を聞き、部屋へ向かった。
歩いていると、背後から誰かが彼を突き飛ばそうとした。だが、デイビッドはすっと身をかわした。
舌打ちをした男が吐き捨てる。
「盲目のくせにどうやって序章を突破したんだ? 見てるだけで腹が立つ!」
デイビッドは冷たい目で見返した。
「黙れ。」
そう言って第七教室へ入った。
男は怒りに震えたが、学院内での私闘は禁じられているため、手を出せなかった。
教室の中で、デイビッドは見知った顔を見つけた。
「ディミトリ!」
「おお、デイビッド。序章はどうだった?」
「悪くなかった。なんとか突破できたよ。」
「はは、そりゃ良かった。さて、それじゃあ努力の成果を見せてもらおうか。準備はいいか?」
「ああ。」
「じゃあ、この水晶に手を置け。エネルギーの数値を調べよう。」
デイビッドが水晶に触れると――ディミトリは驚愕して凍りついた。




