第1巻 第16章 ― 中位級悪魔のコア
三人が目を覚ましたとき、エマが口を開いた。
「コア、いくつ持ってる?」
デイビッドは彼女を見た。
「三つだ。」
「そう。じゃあ全部で七つね……あと二つ足りない。」
うなずいた三人は出発した。
森の中を歩きながら、エマはルーシーの隣を歩き、手を握っていた。
デイビッドは前を歩く。十分ほど進むと、開けた空き地に出た。
中央まで進むと、三人はあたりを見回した。
「エマ、なんか変な感じがする……誰かに見られてるみたい。」
デイビッドも彼女を見た。
「ああ、俺も感じる。」
その時、ルーシーが何かに気づいた。
「二人とも、ここを出よう。今すぐ!」
二人が同時に彼女を見た。
「どうして?」
暗い雲が空を覆い、太陽を隠した。
「くそっ……走れ!」デイビッドが叫んだ。
だが、もう遅かった。植物たちがまるでその瞬間を待っていたかのように動き出した。
そして雨はますます激しくなり、まるで空のバケツがひっくり返ったように降り注いだ。
三人は振り返って走り出した。エマはすぐにルーシーに追いつき、手をつかんで引っ張った。
太陽が雲に隠れたことで、デイビッドの中の闇が目を覚まし、彼もエマと同じ速さで走れるようになった。
逃げようとした瞬間、植物が三人を囲み、全ての道を塞いだ。
もう終わりかと思ったその時――
島全体が激しく揺れ出した。まるで地震のように。
そして一部が海に沈み始めた。
「ちくしょう!」エマが叫んだ。
デイビッドは植物の動きが止まったことに気づく。
「今だ、突破するぞ!」
その言葉にエマが続く。
デイビッドは剣を抜き、ツルを切り裂き始めた。
全力で前へ進む。もう少しで抜けられるというところで、地震がおさまり――植物が再び動き出した。
出口まではもう少し。だがデイビッドの力は限界に近かった。
その時、エマが彼の剣を蹴り、切れ味を加勢させた。
デイビッドはその勢いで体ごと突き抜けた。
三人はなんとか脱出したが、まだ安全とは言えなかった。
雨の中、前も見えないまま走り続け、ツルが次々と地面から伸びてくる。
「ルーシーをお願い!」エマが叫んだ。
デイビッドはすぐ振り向き、ルーシーを抱きかかえて走り続けた。エマが先頭に立つ。
彼女の手に輝く黄金の剣が現れ、進路を塞ぐツルを次々と切り払った。
激闘の末、ツルが届かない丘へとたどり着いた。
三人は急いで登り、ようやく頂上へ。
下ではツルが蠢いていたが、もう彼らには届かなかった。
ルーシーを地面に寝かせ、デイビッドは息を整えた。
「一体なんだったんだ……あの地震はどこから?」
「分からない。」エマが答えた。
「でも……あれが私たちを助けてくれたのは確かね。」
「怒らせない方がいいと思う。」ルーシーが小さく言った。
疲れ果てた三人は、そのまま横になり、深い眠りに落ちた。




