第1巻 第15章:エマとルーシーとの出会い
朝、デヴィッドが目を覚ますと、体中に激しい痛みが走った。
それは彼が“瞳の力”を使った代償だった。
五分も使っていなかったが、たった三分でも十分すぎるほどの負担だった。
ゆっくりと立ち上がり、周囲を見渡す。
遠くには、昨日と同じ煙の柱が立ち上っている。
デヴィッドはゆっくりとそこへ向かって歩き出した。
たどり着いた時、そこには誰の姿もなかった。
その静けさに、彼は少し驚いた。
「もう立ち去ったのか……? それに、なぜ焚き火が森の近くにある?」
そう考えたその瞬間――
矢が彼の背後から飛んできた。
危険を察知したデヴィッドはすぐに身をかわしたが、一本の矢が腕をかすめた。
次々と放たれる矢を避けながら、彼は前方を見据えた。
森の中から一人の少女が現れる。
それは――エマだった。
そして右側には、目隠しをした少女が立っていた。
「預言者か……」
デヴィッドは心の中でつぶやいた。
彼はエマに声をかけた。
「君の名前、エマだろう?」
エマはうなずいた。
「そうよ。」
「待って……その声、聞いたことがあるわ。あなた、デヴィッドね?」
彼女は少し恥ずかしそうに言った。
「そうだ。そして君は?」
「私の名前はルーシー。」
「なるほど。」
デヴィッドはエマの方を見た。
「どうしてこんなに罠が仕掛けてあるんだ?」
「悪魔たちのためよ。あなたが来るなんて思ってなかったの、ごめんなさい。」
「構わないさ。それより、そろそろ行こう。もうすぐ夜になる。」
エマが空を見上げると、太陽はすでに地平線へと沈みかけていた。
三人はデヴィッドを先頭に、大きな丘の方へ向かった。
丘に着いたとき、デヴィッドが言った。
「いい場所だな。植物がない分、動きやすい。」
エマが尋ねた。
「どの島から来たの? この島では、あなたのような気配を感じたことがないわ。」
「複数の島があるってことに気づくとは、頭がいいな。俺は向こうの島から来た。」
そう言ってデヴィッドは指をさした。
「そう……でも、どうやって湖を渡ったの?」
「ボートで。」
「冗談でしょ?」
エマは信じられないように言った。
「いや、本当さ。ボートで渡った。」
「……そう。」
デヴィッドは腰を下ろし、言った。
「自己紹介ついでに、能力も教え合おうか。」
ルーシーが先に口を開いた。
「分かった。私から。私は“預言者”。過去と未来を見ることができるの。それに、少しだけ未来を変えることも……ただし、代償はあるわ。」
続いてエマが言った。
「私は“光の至高属性”を持っているわ。それと、剣術にも自信がある。」
デヴィッドは心の中でつぶやく。
「光の至高属性……なるほど。」
「俺は“闇の至高属性”を持っている。そして、闇のエネルギーを操れる。
真の名は“闇の王”だ。」
互いの力を知った三人は、少しの間語り合い、やがて夜を迎えた。
見張りはエマが担当し、デヴィッドとルーシーは静かに眠りについた。




