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第五章 祭り

昔々、といってもとても今に近い昔。夏真っ只中のある日、翔烏は結兎の家であるOrb Rabbitに足を運びました。いつもと違うところといえば……浴衣姿で、鬼のお面を付けている事でした。

今日は年に一度、辰灯神社で開催される夏祭りの日なのです。


**********************


「よっ龍巫様ァ!」


「よっ!」


結兎の家に足を運ぶ最中出会った心見に挨拶しながら、翔烏は足早に向かっていった。


「こんにちは明里さん!」


「こんにちは翔烏ちゃん。結兎もちょうど準備が出来たところよ。」


水色の浴衣に、鬼のお面を付けた結兎が姿を現した。


「鬼のお面を付けてるとね、鬼鳴様に食べられないんだって。」


と結兎は言った。辰灯神社の夏祭りは「鬼面祭り」と言い、鬼鳴様に喰われないように祭に参加する者は鬼の面を付けなければならないという習わしがある。


二人が辰灯神社に向かうとそこでは、祭囃子が鳴り響き、焼きそば、たこ焼き、りんご飴、スーパーボールすくい……等々、沢山の屋台が並んでいた。


「わぁー!屋台いっぱいあるよ!ね、結兎ちゃん!どれが良い?」


「私チョコバナナ!チョコバナナが良い!」


二人は祭りのムードに触発され、とてもはしゃいでいた。二人で買ったチョコバナナの味は、世界で一番美味しいようにも感じた。


その時、気配の様なものを感じた。何か、呼ばれているような…。


「ごめん結兎ちゃん、ちょっと待ってて!」


「えっ、うん!……トイレかな?」


走っていった先は、神社の奥、要石だった。ここには人も、妖怪も立ち入っていない。ここから、気配がする。羅喉様が呼んでいるような気がする。


要石に手を当てると、内側から引っ張られる様な感覚がした。

……気が付くと辺り一面真っ暗な空間に羅喉様がいた。


「……また…しょうちゃん…から……出向いて…くれ…る…とは………嬉しい……嬉しいな………。」


羅喉様は翔烏を抱き寄せながら、噛み締める様に言った。翔烏が周囲の様子を伺うと、辺りには布団やお風呂、箱のようなものがある事に気がついた。


「……気になる…か?」


羅喉様の声に呼応するように箱の蓋が開いた。そこにはチョコレート菓子……それから石も少し詰まっていた。


「ここはどこ?」


「……ここは…かつて…劣等種共が…あの世と…呼んだ場所……だが………壊した……この…我らが……。」


「壊した…!?」


「驚く事では…ない……壊したのは……ほんの……一部に過ぎない………この星のもの…も…この星そのものも……我らの餌に…なるはずだった………だが……失敗した……。」


ふーっ、ふーっ、と羅喉様の息が荒くなっていった。これはまずい、そう思った翔烏は咄嗟にケイトを振り、大きな枕を出した。

羅喉様は猛獣の様な声を上げながらしばらく枕を殴り続けていたが、ようやく落ち着いたようだった。


「……悪くない……寄越せ………。」


「う、うん。いいよ…。ねえ、昔、一体何があったの?私が特別色濃い者ってどういう事?」


二人の間に、しばらくの沈黙があった。そして、


「……知りたいか…?」


「うん」


「我らから…逃げないと……誓うか?」


「誓う」


羅喉様は「逃げても…追い詰める……がな…。」と言いつつ


「……見せて…やる…。」


と、翔烏の額に人差し指をくっつけた。

一瞬、視界が白くなった。

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