『プレスマンと原文帳』
プレスマンが原文帳をうらやましく思っていました。プレスマンは、ちょいちょい分解され、詰まるほど芯を入れられ、放っておいてもらえないのです。思春期だったらたまりません。原文帳は、開かれて、書かれて、閉じられるだけです。実にうらやましい放任ぶりです。
しかし、プレスマンのこの考えは、ある日、あっさりと逆転しました。
プレスマンが机から転げ落ちそうになったとき、速記者は、こんな素早い動きができるのかと感心するほどの素早い動きで、プレスマンが落ちるのを止め、そのとき、机の上の紅茶をこぼしました。
速記者は、事もなげに原文帳でこぼれた紅茶をふくと、新しい原文帳を出して、再び速記を始めました。
教訓:物の見方は、立場や状況によって変わるものです。