それは白い塊の
寒い、、
ここは。。
真っ白くて。
何も無い空間。
「寒っ、、」
明るい光が何処からか照らし。
まるで、白い背景の中に居るかの様な世界だった。
何の音もせず。
誰も居ない、、
寒い、、
「それは、何を作ってるの??」
「んと、、んと。。
てるてる坊主さん。」
「じゃあ。明日は晴れるかな?」
「違うの。
早くお兄ちゃんが治ります様にって、
てるてる坊主さんにお願い事するの。」
「そうだったんだね。
お兄ちゃんの様子を看ても良いかな??」
「お兄ちゃん、良くなるかな?」
「きっとね?」
目が覚めると。
いつも同じ場所に居る。
「ここは、、」
明るい光が差し込み。
真っ白世界がただ無限に広がる。
『こっち、、
、、こっちだよ。。』
誰だ。
『こっち。』
「もう。
わがままな子は、嫌いだよ?」
妹「お兄ちゃんの分らず屋!!」
「、、危ない!!」
キキィ、、
ドンッ!!!
妹「お兄ちゃん!!」
良かった。
無事で、、
真っ白い世界は寒かった。
だけど、何故か気持ち良かった。
それは、2度寝をしている時の感覚に近いのかも知れない。
身体と頭が離れている様な、
少しゆらゆらとしていて。ふわふわともしている。
このままここに居たい、、
『駄目だよ。
ここに居ちゃ。
こっちへ、、』
誰。。
何処からか声がする。
この世界には僕だけしか居ないのに、、
「あの子。ずっとお兄ちゃんの側で。
ああやって何かを作ってるわね、、」
「アレはてるてる坊主みたいですよ。」
「彼女なりに現実逃避をしてるのかしらね。」
「可哀想に、、」
「てるてる坊主さん。
もう。わがまま言わないから。
お兄ちゃんを返して下さい。
お願いします、、」
沢山のてるてる坊主達は、少年の周りを囲む様にして。
少女の想いと共に。
少年の帰りを、今か今かと待ちわびて居た。
『ふふふ。』
『こっちだよ??』
『早くおいで、、』
「誰??」
眠っている僕に、沢山の小さな声が囁く。
「もう少し寝かせて、、」
身体が上手く動かない。
ずっとこのままで居たい。
ここは、とても居心地が良いから。
『駄目だよ。』
『早く起きて?』
『こっち。。』
僕はまた真っ白な世界に居る。
だんだんと声の数は増えていき。
その声達は、僕の眠りを邪魔した。
「お兄ちゃん、、?」
少しずつ。
身体の自由が戻って来た様な感覚と。
この白い世界には居ない誰かが。
僕の直ぐ近くで、お兄ちゃんを呼んでいる様だった。
お兄ちゃん??
僕は誰だ。。
どうして、ここへ??
眠い。
とても寒いけれど。
とても気持ちが良い。
『起きて、、』
『起きなきゃ。』
『待ってるよ?』
待ってる、、
誰が。
何処で、、
「あの子には、もう彼しか居ないのか。。」
「両親は既に亡くなられてて、」
「お嬢さん??
お兄さんは。
まだ寝ているから。。」
「嫌。。
お兄ちゃん。行っちゃうから、、
お母さんとお父さんも行っちゃったから。
もう、行っちゃ嫌だから。」
誰かが泣いている。
聞き覚えのある声だ、、
妹「、、えーん。。」
意地悪な男の子1「また泣いてやがるよ。」
意地悪な男の子2「泣き虫!!」
「おぉーい!!
僕の妹を泣かすんじゃない!!!」
意地悪な男の子1「やべっ!」
意地悪な男の子2「逃げるぞ!!」
「待てえ!!!」
いつだって助けてくれた。
お兄ちゃんは、私のヒーローだった。
お兄ちゃん「なぁ。。
大丈夫か??
何処か痛いのか??」
「うぅん、、
大丈夫。。」
お兄ちゃん「あんま泣くなよ。。
このお人形さんだって、悲しくなっちゃうだろ??」
「これは、てるてる坊主さんだよ、」
お兄ちゃん「そっ、そうか。。」
母さんが死んでから。
ずっと妹はてるてる坊主を握り締めて居た。
それは、母さんに教えて貰った。
母さんのてるてる坊主だった。
母さん「良い??
このてるてる坊主さんはね?
願い事を叶えてくれるのよ?」
「本当に??」
母さん「えぇ。
でも。願い事を叶えて貰うには、
ちゃんと大切に扱わないと駄目なのよ??」
妹「うん!
お母さんの願い事は??」
母さん「そうね、、
いつまでも
、、が笑顔で居れます様に」
『こっちだよ、、』
『さあ。歩いて?』
眩しい光が。僕の目の前にある。
「眩しいよ、、」
『大丈夫。
怖くないよ。』
『大丈夫だから。』
「うん、、」
「、、お兄、ちゃ??」
目を開けると、ボヤけた顔をした妹が居た。
「大丈夫か??
何処か痛くないか?」
妹の頭を撫でようとした時。
手に何かがぶつかった。
妹「お兄ちゃん!!」
妹は僕に抱き付きながら泣いた。
僕の周りには、沢山の白い塊が。
僕を囲うように置いてあった。
「先生!!」
「、、信じられん。」
直ぐに先生達が来て。
僕を診てくれた。
妹が僕の隣に座る。
妹「てるてる坊主さん達が助けてくれた??」
「あぁ。
きっとそうだと思う。
ありがとうな?」
妹「うぅん、、
ごめんね?
お兄ちゃん。。」
「僕こそ、ごめんね??」
今思い出しても。
それはただの白い塊だった。
、、いや。違うか。
沢山作られた。
願いの叶う。
てるてる坊主さん。
だったな。
妹「何を笑ってるの?」
「いや。
少しは、上達したか??」
妹「まあね。」
大切そうに。1個1個作られたそれは。
今ではいろんな顔をして。
嬉しそうに。
ニコニコと微笑んで居た。
僕をあの場所から呼び戻してくれたのは、
きっと彼等だったのだろうか、、
「ちゃんと学校行けよ?」
妹「はあいっ」
「行ってきます。」
妹「行ってらっしゃい。」
今日も雨は止まないが。
雨は嫌いじゃない。