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9話 スキル「食い戻り」発動ですわ〜!

 店の裏の路地。そこには床に仰向けで寝ているスバルの顔面におっぱいを乗っけて気絶したへティア。その正面、少し離れたところに店長、そして店長の背後にエムリアとユニ、店員がいた。

 

 

  へティアは気がつく。「うう……なんか下に柔らかい物が……? あっ、スバルちゃん!? しっ、死んでるぅ!?」びっくりしながら飛び退く。

 

 スバルは( ˘ω˘)スヤァと、安らかな表情をして目をつむり、冷たくなっていた。両手をお腹の前で組んでいる。

 

「ぼっ、ぼくは誓って殺しなんかやってません!」あわあわとへティアは逃げ去る。

 

「誰だあいつ……。まあいいや、お嬢ちゃん、まだやれるかい?」店長は拳をぽきぽきしながらゆっくりと歩み寄る。スバルが死んでることにはまだ気付いていない。

 

「やめなさい」その背後から強い口調でエムリアが言う。

 

「なんだと? じゃますん……え、エムリア様!? なんでここに?」振り返った店長はびっくりする。

 

「人探しでちょっとね。いくら無銭飲食したからっておしおきしすぎじゃないかしら?」エムリアは腕を腰に手をやってすこし憤った表情をする。

 

「つい熱くなっちまって……お嬢ちゃんめちゃくちゃ硬いから殴りがいがあってさぁ……すげえ煽ってくるし……」店長は言い訳を始める。その巨体でもじもじとしながら。

 

「まあいいわ、あの子の食べたドナドナの分は私が払います。それならおしおきする理由もないわよね?」店長の目をじっと見つめ、言う。

 

「そりゃあ、俺はかまわんですが……あのお嬢ちゃん、知り合いで?」

 

「いえ、初対面よ」

 

「えっそうなんですかい? じゃあなんで……」店長は怪訝な表情になる。

 

「このままほおっておけないでしょ。お金ないの、何か訳ありそうだし……。それにお目当ての探してる人だから、かな?」

 

「優しいッスねぇ……流石領主の娘」店員がほめる。それを聞いて少し、エムリアの頬が緩みかける。

 

「でしょ! 私のご主人、めっちゃ良い人なんだから!」

 エムリアの腕を取って抱きしめながら、ユニは更に自慢する。にこにこっ、とエムリアは笑顔になってしまう。

 

「ユニ……嬉しくてにやけちゃうからやめなさい」よしよしと、従者の頭をなでなでしながら、エムリアは言う。

 

「あれ、食いしん坊ちゃんなんかさっきよりちっさくなってないっす?」エムリアの横で店員はつぶやく。「あれ? ほんとだ」とその横にいるユニも同意する。

 

 今のスバルの見た目は5、6歳の見た目になり、身長は120cm台になっていた。先程、ドナドナをぱくぱくしていたときは14歳程の見た目で身長150cmはあったはずなのに。

 

「うん? そうなの?」エムリアは聞く。

 

「そうです、おかしいなぁ……」とユニはスバルの方に近づいていく。「え、あれ!? まさか」途中で何かに気が付き、駆け寄る。

 

「エムリア様……この子、死んでます」ユニはスバルの手首で脈を取りながら伝える。

 

「ええっ、嘘でしょ!?」

 

「いや、マジっすね……心音が止まってるっす」店員は胸に耳をあてながら答える。

 

「やべぇ……殺っちまった……」店長は膝から崩れ落ちる。その表情は絶望にそまっている。

 

「ほんとに……死んでるわね」エムリアは表情を強張らせ、行動を起こす。

 

「蘇生魔法、いまから使うわ。二人とも下がって」エムリアはスバルの真ん前にたち、詠唱の準備をする。

 

「エムリア様!? その魔法はだめです! 三ヶ月ぐらい動けなくなっちゃうんですから!」ユニは慌ててとめにはいる。

 

「背に腹は替えられないわ、それにいまからやらないと間に合わないわ」エムリアは唇を噛み締め、覚悟を決める。

 

 と、その瞬間。

 

 きゅるる……きゅるきゅる。

 

 効果音がなる。うるさいわけではないが、路地裏に響き渡るほどの音量だ。

 

「えっなにこの音……」ユニは周りを見回す。

 

 ぐううううっ〜。また効果音がなる。

 

「食いしん坊ちゃんの……お腹からなってるっす?」店員は耳をそばだてる。

 

 ぽんっ、もわもわ〜! 急に煙が立ち込め、スバルの全身が包まれ、見えなくなる。

 

「この煙甘っ……すごい甘い匂いする……」ユニは鼻をクンクンさせる。「揚げたてのドナドナの匂い……っすね」店員は感想を漏らす。

 

 ――食い戻り――

 

 スキルが発動する。

 

 煙が消え、スバルの姿が現れる。仰向けの体制は変わらなかった……しかし。

 

 ( ˘ω˘)スヤスヤァと今度は寝息を立てていた。胸が上下に動き、息をしているのがわかる。見た目は子供のままだったけれど。

 

「エムリア様! 生きてます!」とユニは腕をひっぱる。

 

「ぶつぶつ……え、まだ蘇生魔法、発動してないわよ?」エムリアは戸惑う。

 

「なんかよくわからないけど生き返ってます。だから詠唱やめてください!」一度発動させたら止められないのを知っているユニは慌てている。

 

「わかったわ……ああっ」詠唱を解除したエムリアはへにゃへにゃとよろける。詠唱にも魔力を使うのだ。

 

「大丈夫ですか」ユニはさっと支える。

 

「うん……ユニが止めてくれたからなんとか。少し休めば回復するわ」

 

 店員はスバルの手首を握りながら「脈もあるっすねぇ。目は覚まさないっすけど……身体も暖かくなってるし、まあ無事っぽいっすね」と言う。

 

「よかったわ。」とエムリアはほっとする。 

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