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悪役令嬢のお友達  作者: 北見なみ
12/12

悪役令嬢その②2

翌日、両親と共に馬車に乗り込み、半日かけてリベラニアの端の宿場町にやってきた。

ティベリオ領領主館、フォーサイス家の本宅まで行くには馬車で1日かかるため、2泊3日のお茶会旅行になってしまった。

もっとも、移動手段が徒歩か馬、馬車、船しかないこの世界では、珍しいことでもないけれど。


今日はこの宿場町に泊まり、明日の朝ティベリオに向けて出発、お茶会が終わればまたこの町に戻って1泊。

道中、領地の様子を見ることができてとても楽しかった。


父曰く、「シシーがいるからいつも以上に民が喜んでいるよ」とのことだけれど、さすがにそれは親の欲目ではないだろうか。

それでも、小さな女の子が「リベラニアのおひめさまに!」と野花の花束を持ってきてくれたのは本当に嬉しかった。

そして、この朗らかで明るい民を守っているのが父で、そんな父を陰に日向に支えるのが母なのだ。

そんな自慢の両親が、立ち寄る町々で慕われている様子が見られて、それだけでここまで来たかいがあるというものだ。



(いやいや、本題は明日のお茶会!イヴァンジェリンと宰相子息・ウィリアムとの関係性が分からないから対策は難しいけれど…。それでもイヴァンジェリンと仲良くなれば相談には乗れるはず!)



ウィリアムは宰相でもあるラズトリアの領主子息で、次期領主。多忙で領地に常駐できない宰相に代わり、領地経営を担う叔父がいる。

しかし、領主代理の叔父やその息子が優秀であったため、いずれ領主に成り代わられてしまうのでは、と危機感を抱く。

次期領主を降ろされてしまった時のことを考えたウィリアムは、叔母の娘・アイリスを王太子に嫁がせることを思いつく。

未来の王妃の外戚として王都で地位を確立するため、幼友達であるエドワードとアイリスの仲を取り持とうとするのだ。



(ウィリアムルートでは…殿下はアイリスになびかず、作戦は失敗。ウィリアムは、野心あふれる肉食ヒロインのターゲットにされて、あっさり陥落。)



そして、アイリスとのキスシーンを婚約者に目撃し、そのことをアイリスに抗議しに行ったイヴァンジェリンを、〝嫉妬に狂ってアイリスを害そうとした"、として婚約破棄。

他のルートと比べても、アイリスの腹黒さが目立つストーリーだった。


ただし、このルートでアイリス以上に嫌われたのはウィリアムだったりする。

つまらない計略を巡らせてエレノアとエドワードの仲を引っ掻き回した挙句、アイリスの内心にも気づかずにまんまと落とされてしまうのだから、『こいつが領主にならない方が領地のため』だの、『イヴァンジェリンは逃げることが出来て良かった』だの、なんとも辛辣な感想が多かったのだ。


その意見には大いに賛成なのだが、それでもウィリアムから婚約破棄をされるとイヴァンジェリンに瑕疵がついてしまう。

婚約破棄をするにしても、せめてイヴァンジェリンに害のない形にしてあげたいと思う。



(殿下に相手にされなかったヒロインが手っ取り早く落とすとすれば、ウィリアムだと思うのよね。)



エレノアとエドワードの仲が盤石になれば、被害を被る確率が高いのがイヴァンジェリンだ。

エレノアのためとはいえ、二人の仲を取り持った身としては、彼女に対して少し罪悪感がある。

なんとかしてイヴァンジェリンが幸せになれる道を模索したい。


しかし、現時点でウィリアムとイヴァンジェリンは婚約してしまっている。

二人の祖母が仲のいい姉妹で、二人がまだ幼いうちに婚約を結んでしまっているのだ。


広大な森を持ち、リベラニアの運河も近いことから林業が盛んなティベリオ。

そんなティベリオと王都に挟まれ、質のいい材木が手に入る上に王都の情報をいち早くつかめる、木工品や土木業、建築業などで栄えるラズトリア。


政略的な観点からみても、互いの領地の結びつきをより強固にするための、理にかなった婚約だ。

よほどのことが無い限り、彼らの婚約が覆ることはないだろう。


つまり、ウィリアムがアイリスに攻略されなければ、彼らは結婚できるはずだが…



(イヴァンジェリンがウィリアムをどう思っているかよね…。)



イヴァンジェリンが婚約者を想っているのであれば、ヒロインの思惑を阻止するだけだ。

しかし、ウィリアムに対する想いがないのなら、ウィリアムにはヒロインと幸せになっていただいて、イヴァンジェリンには良縁を探してあげたい。

ただし、問題が一つ。



(ウィリアム以上にティベリオの利になりそうな相手が、お兄様しかいない…!)



林業の盛んなティベリオにとって、運河を持つリメリオとの友好はラズトリアとの友好以上に重要だろう。

船のために木材が多く必要なリメリオにとっても悪い話ではないし、リメリオの次期領主である兄、アルバートには婚約者がおらず年齢的にもちょうどいい。

婚約破棄のために多少の金銭を使ったとしても、十分元が取れるほどの良縁と言えるだろう。


しかし、わたしにはそんな良縁を喜べない理由がある。



(お兄様はイケメンだし優しいし、博識で努力家でとっても魅力的な人だから、イヴァンジェリンもきっと好きになるはず。でも、わたしはお兄様に恋人がいることを知っているのよ…!)



学園の長期休暇中に手紙のやり取りをしている相手がいて、封筒の雰囲気からするに間違いなく女性。

その手紙を眺める兄の顔が、優しくほどけるのを知っているのだ。

来年の卒業式のパーティーで紹介したい人がいると、父と話していたこともある。


イヴァンジェリンはもちろんだが、兄にも幸せになってもらいたい。



(今考えても仕方がないわ。とにかく、イヴァンジェリンと仲良くなって、彼女の想いを知らなくちゃ!)



ひとまず、明日のお茶会に向けて早めに休むことにしよう。






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