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悪役令嬢のお友達  作者: 北見なみ
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悪役令嬢その②1

エレノアとエドワードの婚約式が無事に終わり、ついにエレノアの妃教育が始まるという。

妃教育のため登城することが多くなるので、彼女は王都にある別邸に居を移した。


これからは、父の仕事について侯爵家に行っても会うことができないし、たまに開催していたお泊り会も難しくなるだろう。

彼女とは相変わらず頻繁に手紙のやり取りをしているが、物理的に距離が遠くなったため、やりとりに時間がかかるようになってしまった。

大好きな兄も昨年から王都の学園に入学して基本的に寮生活をしているため、正直さみしくて仕方がない。



(お兄様とエレノアが構ってくれるから、あまり気にしてなかったけれど…わたし、めちゃめちゃ友達が少ない…!)



というより、純粋にカウントすると友達はエレノア一人だ。

エレノアと出会う前は、『学園に入ってから友達を作ればいい』などと思っていたが、エレノアという大切な友を得た後で、彼女とも兄とも離れてしまうとこんなにさみしくなるとは思いもしなかった。


そんな調子で、最近しゅんとした様子のわたしを、両親はとても案じてくれていたらしい。

いつかのように、お茶会の約束を取り付けて帰ってきた。



「シシー、エレノア嬢の代わりというわけではないが、他にも友人を作ってはどうだろう?彼女が王都に行ってしまってから、ずいぶんふさぎ込んでいるように見えるから、心配なんだ」



そう言ってこちらを見る父と、父に寄り添って眉を下げる母。そんな両親を見ると、貴族令嬢として内心を隠せていなかったことを反省しつつも、愛されていることを改めて実感して嬉しくなる。



「ありがとうございます、お父様、お母様。お茶会も楽しみですけれど、お父様たちのお心がなによりも嬉しいです!」



感謝を伝えると、両親は相好を崩して頭をなでてくれる。

前世で逆縁の親不孝をしたことも手伝ってか、好意や感謝を積極的に伝えることが増えたように思う。

もちろん、両親や兄が言葉にして愛情を伝えてくれるから、ということも大きな要因ではあるけれど。


素直に愛情を示せば、家族はさらに喜んでくれるし、いいこと尽くしだ。



「それで、どなたとのお茶会なのですか?」



そう父に確認すると、「フォーサイス侯爵家のイヴァンジェリン嬢だよ。リメリオ領とは反対隣りにあるティベリオ領のお嬢さんだ。」と教えてくれた。



「イヴァンジェリン様…、確か、わたしより1つ年上のお姉様でしたよね?」

「ああ、よく覚えているね。」

「お仕事でも深い付き合いのあるお家ですもの、覚えています。」



そう答えると、父はとても嬉しそうに笑ってくれた。

我が家と関係の深い家のご令嬢なので、学園に入ってから親交を深めようと思っていた人だが、わたしが彼女のことをしっかり認識しているのはそれだけが理由ではない。



(だって、彼女はゲームに登場する悪役令嬢、その②!)



父に褒められて嬉しい反面、家の為とは別の理由があることが少し後ろめたい。

それでも、入学前から彼女と知り合えるならば、エレノアのように救える道があるかもしれない。

お茶会の前に彼女の辿るかもしれない運命を今一度思い返してみるべきだろう。


お茶会にむけてティベリオ領の勉強をしなくては、と両親につげると、苦笑と共に見送ってくれた。




自室に戻り、一人になったところで、チェストの中から小さなノートをそっと取り出した。

久しぶりに開くそのノートには、拙い筆跡が連なっている。


まだ幼いころに書いた秘密のノート。


エレノアと出会うよりも前―――この世界が、前世のゲームの世界だと気づいたころに、ヒロイン・アイリスに破滅させられそうな〝悪役令嬢"に関して思い返しながら書いたものだ。


長じるにつれてこちらの世界の知識が増え、逆に前世の記憶は薄れていく。そのことを認識したとき、慌てて書いたのだ。

エレノアやほかの悪役令嬢とは、魔法学園に入学すれば会えるのは分かっていた。

しかし、彼女たちのためになにかしたくても、記憶がなくなっていては対策がとれない。



(まだ文字の勉強を始めたばかりで、こちらの言葉では書けなかったのも理由だけれど…)


もし誰かに見つかった時のために、日本語で書いた。

今のところノートが見つかった形跡はないが、我ながらいい判断だったと思う。



転生してすでに12年。徐々に前世の記憶は曖昧になってきているが、このノートのおかげで対策を練れそうだ。


彼女は宰相子息の婚約者として登場し、エレノアと同じようにアイリスをいじめたとして断罪、婚約破棄。

この世界では、婚約破棄はかなりの醜聞。政略的な理由で破棄になることもあるそうだが、その際は双方不利益がないよう金銭で補うなどして、円満に解決するらしい。

しかし、エレノアやイヴァンジェリンのように婚約者から断罪されての婚約破棄では、円満とは程遠い。

さらに女性側に瑕疵があるとなると、まず、まともな婚姻は無理だろう。



(それでも、婚約者が王太子だったエレノアより、イヴァンジェリンの方がましだけれど。エレノアは、国外追放だったもの。)



エレノアが国外追放になったのは、未来の王妃に害をなした者を国内においておけない、という理由からだ。

その点、イヴァンジェリンの婚約者は宰相の息子の次期伯爵のため、国外追放ほどの罰は受けなかった。

それでも、イヴァンジェリンに同情してしまう。

彼女は、アイリスと婚約者のキスシーンを目撃してしまい、それを責め立てていたところを婚約者に見られて婚約破棄されてしまうのだ。

キスシーンを見せたのも、抗議するイヴァンジェリンを見せたのも、すべてが悪女ヒロイン・アイリスの策略である。



(そんなこと、させるものですか!)



さて、どうすればイヴァンジェリンは幸せになれるだろうか。






仕事の資格試験があったり、引っ越しがあったり、ちょっと病気をしている間に半年以上空いてしまいました…!

もともと亀の歩みより遅い更新速度なのですが、こんなに書く時間が無くなるとは…。

仕事やプライベートが忙しくなかなかハイペースでの更新は難しいのですが、少数とはいえブックマークしてくださっている方もいらっしゃるので、頑張って書いていきたいと思います!

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