「四宗 竜王」元総理大臣の新興宗教教祖
四宗 竜王は自家用のプライベートジェット機の窓から外を眺めながら考えこんでいる。四宗竜王は元総理大臣で、現在は現在東京大学の名誉教授である。
私は皇族に生まれ、帝王学を学び、東京大学法学部を主席で卒業。官僚となった後にはハーバード大学に留学し修士号を取得。国会議員となり内閣府の大臣を歴任し、総理大臣となった。総理大臣として多くの実績を残した後、東京大学の名誉教授として教鞭をとる。
授業では主に、経験に基づく独自の解釈を加えた哲学、宗教を教えていた。大学以外でも、自身の思想を教えるようになり四宗哲学とも呼ばれていた。そして、いつしか 四宗竜王こそが、天照大神の末裔であり、生まれ変わりではないか。神国からの異世界転生者ではないか。チート能力者ではないか等と民衆に祭り上げられ「四宗教」の教祖として君臨することになった。本も沢山出版しており、『私は神の生まれ変わりである』『私のチート異世界転移術』などはベストセラーとなった。そして、息子の四宗 帝王は総理大臣となり、私の傀儡政権として日本を安泰にしていた。
しかしながら、私のこの完璧な経歴に傷をつけられることになった。
中学2年生の孫である四宗 王は超能力者だった。しかし、超能力者としての能力は低く、紙を浮かせられるような微量なものであった。四宗王は自身は神の国の生まれ変わりで異世界転生者だと主張し、超能力を覚醒強化させたいと言い出した。
超人を作り出す人体実験等を行っている東京大学病院直轄の次世代人間研究機構の協力により、四宗王は超能力を向上させた。その後は、「日本同時多発テロ事件」として、日本を震え上がらせる大惨事を引き起こした。これは、過去に起きた宗教組織による日本のテロ事件や、アメリカ同時多発テロ事件をも彷彿とさせた。
未成年の次世代テロ集団「ネクスト・ジェネレーション」のリーダー四宗王、幹部の「四天王」、「八部鬼衆」はほとんど捕まり死刑判決となった。先日に未成年でありながら異例の死刑判決がなされ、すぐに死刑執行はされた。
「地獄島」の別荘を我が一族で所有していたのだが、孫の四宗王は 最終的「地獄島」まで逃げたことで追い詰められて捕まることになった。超能力を使いすぎ、オーバーフローしたことで能力を使用できなくなっていたのである。
終わりの地である「地獄島」との関わりを断つため、直ぐに売却してしまった。孫の四宗王が死刑となった今、もう一度「地獄島」を訪れたいという考えが頭の片隅にあった。
新たな持ち主である、安野 雲兵衛については、資産家のオーナーであるという情報以外は特に情報はない。
しかしながら、かねてからの要望であった「地獄島」に訪れたいと、安野雲兵衛に手紙で頼むことで許可を得ることができた。今回は友人の百船歩の提案により、優秀な傭兵を警護につけることになっている。
そう・・・今では、東京大学では終身名誉教授として授業を持つこともなくなり、「四宗教」はテロ事件をもって崩壊となり影響力はなくなった。息子と孫をなくし、ただ死を待つ寂しい老人だ。
窓の外の外界の景色を眺めているうちに、プライベートジェットは無事に着陸した。ここで彼らと待ち合わせの予定となっている。