「虎南 六香」元有名女優の弁護士
飛英軍二の前の席には、虎南 六香がいつものように、背筋をしゃんと伸ばして座っていた。虎南六香は、だらしなくもたれかかるのが嫌いだった。元は有名女優であり、弁護士役の主人公でドラマは大ヒットする。役に入るため、弁護士資格を取得したことも話題となった。女優として活躍した後は、弁護士となり、活躍している。
元女優の強いオーラに包まれた虎南六香は、快適な飛行機のファーストクラスでビールを飲んでいた。
近頃は誰も彼もがなにかというと大騒ぎをする。「渋谷スクランブル交差点交通事故」では、未成年の犯行だというのに、財閥系御曹司の上級国民だから逮捕しないとか騒ぎたて写真や名前をネットで勝手に公開されたりした。
交通事故を起こしたのは、三友 龍馬って名前だったかな。上から圧力によって事件の隠蔽工作がされ、報道も規制された。私はこの事件を示談に持ち込むのに苦労した。一応は他にセンセーショナルな事件が起きたおかげで人々の関心は反れたのだけど。
一連の事件を全てまとめて世間一般には「日本同時多発テロ事件」と呼ばれ、ネットの俗称では、次世代テロ集団「ネクスト・ジェネレーション」の引き起こした「ネクジェネ事件」とも呼ばれている。
詳細では「原子力発電所爆破テロ事件」と「国会議事堂・都庁等同時多発テロ事件」は衝撃的であった。
「原子力発電所爆破テロ事件」は静岡県の浜岡、福井県の高浜など複数が狙われて爆発させられた。次世代テロ集団「ネクスト・ジェネレーション」は四宗 竜王が開いた「四宗教」という新興宗教の教祖の孫であった。
「国会議事堂・都庁等同時多発テロ事件」では、国会議事堂に飛行機を墜落させて、現職の総理大臣、大臣、国会議員、官僚、飛行機の乗客の多くを死亡させた。そのため、私は弁護士として被害者団体を立ち上げた。
当時に弁護士として、「四宗教革命軍」の幹部である西九条 桂馬を弁護していた。直接的な殺害に関与せず、何もわからずに爆弾を作らされていたという主張もあり、既に死刑囚となっていた西九条桂馬は司法取引で釈放された。司法取引の内容は、教祖と幹部の隠れ家であった「地獄島」の地下施設の情報だった。
そして、次世代テロ集団「ネクスト・ジェネレーション」のリーダーと幹部は逮捕され、先日には死刑執行となり、事件は全て終わった。「政治家や官僚の多くが死亡したことで、国の機能が麻痺した。
虎南六香は今まで担当していた一連の「日本同時多発テロ事件」が全て終わったことに、満足しながら、唇をぎゅっと結んだ。去年まで事件のことが思い出された。でも今年は、平和な夏になりそうだ。
虎南六香は「日本同時多発テロ事件」功労者の会のご案内の招待状を取り出し、読み返すことにした。
『拝啓 盛夏の候いよいよ御健勝の御事とお慶び申し上げます。
さて下記のとおり一連の「日本同時多発テロ事件」の解決に貢献していただいた人に対してささやかですが「功労者の会」を催すことといたしました。
移動と滞在費として10万円を同封致します。
ご多用中 誠に恐縮ではございますがぜひご出席をお願いいたしたく ご案内申し上げます。
「地獄島」の館は宿泊施設になっていますので、宿泊と食事をしていただき、翌日には八丈島空港へお送りさせていただきます。食事と宿泊費に関して特別に無料の対応とさせていただきます。
当日は、八丈島空港のロビーから、船長の百船がクルーザーで「地獄島」までご案内申し上げます。
日時 8月8日 14時
待ち合わせ場所 八丈島空港のロビー
ゲスト一覧
元総理大臣 東京大学名誉教授 四宗 竜王様
三友銀行頭取 五行 銀時様
株式会社タイムマシン 代表取締役 八王女 雀様
「地獄島」オーナー 安野 雲兵衛』
安野 雲兵衛といえば、「地獄島」オーナーとして名前が出てきた人物だけど、どんな人物かは不明ね。
「地獄島」といえば、以前は元総理大臣の四宗 竜王のものだったのだけど、「日本同時多発テロ事件」の終わりの地とされている。
今回の参加で政財界の有力なコネクションが得られるかもしれないと思いもあり、仕事のスケジュールを調整して参加することになった。