「金田 一」探偵
孤島への招待客
神玉 零(24)---ジャーナリスト
金田 一(27)---元警察官の探偵
飛英 軍二(42)---元自衛隊の傭兵
三友 龍馬(19)---三友財閥の御曹司の大学生
四宗 竜王(94)---元総理大臣の新興宗教教祖
五行 銀時(55)---三友銀行の頭取
虎南 六香(36)---元有名女優の弁護士
北卜 七星(57)---警視総監
八王女 雀(16)---女子高校生のベンチャー社長
西九条 桂馬(??)---元死刑囚の使用人
十角 玄武(40)---医者
安野 雲兵衛--- UNKNOWN(謎の人物)
金田 一は飛行機のファーストクラスの窓際の席でワインを嗜んでいた。以前は警察官として働いていたが、とある事件をきっかけに警察を辞めて、現在は探偵をしている。金田一の目はタブレットのニュースの事件記事を追っているところだ。
ニュースの内容は
【渋谷スクランブル交差点自動車事故の疑惑とは?】
【薬物の密売ルートの闇】
【弁護士一家惨殺事件の真相】
【拘束動画公開射殺事件の被害者の真実とは?】
【原子力発電所爆破テロ事件の隠蔽】
【国会議事堂・都庁等同時多発テロ事件の陰謀】
【「日本同時多発テロ事件」を引き起こした次世代テロ集団「ネクスト・ジェネレーション」の死刑執行】
など興味のある記事に目を通していた。
金田一はタブレットをおいて、窓の外を眺めた。飛行機は羽田空港から出発し、南方の海の上を飛んでいる。金田一は時計を見た---あと2時間か。
金田一は、これから向かう「地獄島」について思い浮かべてみた。まず、大金持ちの元総理の四宗 竜王が、東京から南の海に浮かぶ伊豆諸島の「地獄島」を買い取った話から始まった。そして、そこに建てられたモダンな邸宅が、どんなに豪華なものかが伝えられた。
ところが日本を震撼させた、ある事件があったため、四宗竜王の島と邸宅は売りに出されることになる。一部の雑誌では、このニュースが報じられ、やがて買い手がついたという短くそっけない記事が現れた。買い取ったのは安野 雲兵衛とやらいう人物で---そこからは、ゴシップ記事の出番だった。
「地獄島」を買ったのは、実は女子高生ベンチャー社長の八王女 朱雀だ!
元有名女優で弁護士になった虎南 六香だ!
「日本同時多発テロ事件」で捕まった、次世代テロ集団「ネクスト・ジェネレーション」の幹部の元死刑囚の西九条 桂馬はうるさいマスコミから逃れて、そこで賠償金で一生静かに暮らすつもりなのだ!―――といったぐあいに、いっせいに書きたてた。ジャーナリストの神玉 零は、「地獄島」は次世代テロ集団「ネクスト・ジェネレーション」の残党勢力の新たな拠点になるのではないか!などとそれとなくにおわせていた。
「地獄島」は一部のゴシップ紙ではニュースの目だった!
金田一は、ポケットから手紙を一通取り出した。手書きの文字はひどく読みにくかった。だが、ところどころ、いやにはっきり読み取れるところがある。
『金田一・・・・・・あなたに・・・・・・・・事件の・・・真実・・・・・・・・・はひとつ・・・』
そして最後に、文字で『明智 千妃』と署名があった。
明智 千妃に最後に会ったのは、いったいいつだったろう。
金田一は思い出そうとした。あれは3年前――いや、4年前だったか。あのとき彼女は出かけにいった。仕事だと言って――そのあとは・・・・。
今まであった事件について考えていた金田一は、こっくりうなずいた。そして、うなずいたままうなだれて・・・。
金田一は眠っていた。