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【短編】ホラー短編シリーズ

怖い女と手ごわい男

作者: 烏川 ハル

   

 八月のある日。

 夜景の見える小洒落たバーで、二人はグラスを交わしていた。

「誕生日おめでとう」

 男が女にプレゼントを差し出すと、女は笑顔で礼を述べる。

「ありがとう。また来年、同じ頃に会いましょうね」

 この台詞を彼女が告げるのは、今日これで何人目だろうか。

 相手たちの中には、もう二度と会わないと決心する者もいたし、それを露骨に顔に出す者もいた。

 しかし、この男は違っていた。

 彼は、満面の笑みを浮かべて、嘘偽りのない本心を口にする。

「うん! 来年が楽しみだね!」

   

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