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第1話 ありきたりなフラグ

前回の続きです。お楽しみください。


 ……えーと、何がどうなっているんだろう。

 最初に頭をよぎったのは、犯罪の可能性。未成年とネットで知り合っても犯罪にならないっけ。


 * * *


 まぁまずは情報整理しようか。

 確か俺は2日前に[音爆]の最多理論値数が抜かされて、そいつはクロとかいう得体のしれないプレイヤーで、俺は昨日ムキになってその首位の座を奪還したんだよな……あ、いやムキにはなってないわ。まじで。


 それで、その後急にDMが飛んできて、その勢いに負けてあれよあれよという間にオフ会することが決まってしまったまではいい。いや、良くないけど。する気無かったけど。いらない偶然のせいでこんなことになってしまったのは百歩譲ってどうでもいいんだ。


 ……じゃあ問題は何かって?


 俺はそいつのTwitterでのツイート内容や、DMの内容から大雑把な男だなぁと思っていたんだ。女の雰囲気は一切感じられていなかったから。

 しかし、蓋を開けてみたらどうだ。


「あ、はい、そうですけど……あ、私クロって言います。高校2年生です。よろしくお願いします。Kanjuさん」


 目の前にいる、クロと名乗る人物は、まぎれもなく女性で、しかも。


「女子高生だと……」

「??そうですけど……」


 しまった、若干引かれてるな。驚きすぎて気持ち悪い顔をしてしまった。描写は省く。

 しかし、驚くのも無理はないというのも分かって欲しいところではある。

 だって、女子高生だぞ?人類の約半数、しかも3年間だけしか得ることの出来ないステータスだぞ?おっといかん。そんなステータスとかいう言葉で人をみてはいけない。


 ……けど自分が高校を卒業した途端に女子高生に魅力を感じてしまうんだよなぁ。高校生の間は、


(女子高生の何がそんなに珍しいんだろうな?こんなに腐るほどいるのに)


 とか思ってたけど、いざ卒業して見るとどうだ。猛烈(もうれつ)に襲ってくるやるせない気持ち。

 成人してしまうと女子高生と話すことすら犯罪臭がして危ない。手を出そうってもんなら間違いなく地下に放り込まれるだろう。現実問題そういう馬鹿な大人達は腐るほどいるからな。

 俺にそんな気持ちは全くないが。ここ重要。


 ……男子高校生諸君はめいいっぱい高校生活を謳歌(おうか)した方がいいぞ。


 ー閑話休題(それはさておき)


 この状況はまずいんじゃないだろうか。私服だからといってクロさんは高校生感は出ているし、幸い俺はおっさん顔をしていないから、高校生感が出ている。あれ、なんもまずくないわ、これ。


 だが一応周りの目は警戒しておこう。


「えーと、クロさん?こんにちは。今日はよろしく。俺がKanjuだよ。そうだな……呼ぶ時は樹いつきって呼んでくれ樹木の"樹"一文字で、樹」

「Kanjuさんじゃだめなんですか?」


 首を傾かしげながら彼女は言う。可愛いなおい。

 彼女は素朴な顔立ちをしていて、クラスでは目立たっていなさそうな印象を受けるが、普通に可愛い。焦る。1番のポイントはこのゆるふわボブ(?)の髪型。どストライクすぎる。

 はい、ここ犯罪臭。


「うーんほら、一応俺大学生だし、成人してるし、今の時代未成年と危ないことしてんじゃないかとか、周りの目がめんどくさいからさ。そっちの方が都合がいいんだ」

「あーなるほど、何となく察しました」


 苦笑いをしながら彼女は了承してくれた。これで何とか高校生同士のカップル……あれ、これカップルに見えるのか?見えちゃうのか?


「樹さんって本名ですか?」


 思案顔をしていると彼女から話しかけられた。あぁ、そうか偽名使ってもよかったのか。そこまでは頭回らなかった。まぁ、別に隠すことでもないしな。


「うん、そうだよ」

「じゃあ、私のことも結乃(ゆの)って呼んでください!結ぶに乃木坂の乃で結乃です!」

「……それは本名なの?」

「はい!」


 俺は思わず(うな)る。女子高生がこんなご丁寧に本名を言ってしまって良いのだろうか。もし俺が悪い奴だったらどうするんだ。良かったな相手がチキン野郎で。

 俺はクロでも充分あだ名という感じでセーフだと思ってたんだけどな。説明しなかったのが悪いか。

 ……しかし一応注意くらいはした方が良いだろう。


「あーと、結乃ちゃん。初対面の人に迂闊(うかつ)に本名を教えない方がいいよ。名前だけで悪用出来る人も世の中にはいるんだし」

「樹さんはするんですか?」


 またも彼女は首を傾げる。かわいい。じゃなくて。


「いや、俺はしないけど……」

「じゃあいいじゃないですか。樹さんだって教えてますし」

「はい?」


 何を言ってるんだこの子は。


「いや、そういう事じゃなくて、相手がどんな人かもわからないのに迂闊に個人情報教えるなってこと。特に俺は男だし一人暮らしだし、まぁ、悪用されても何とかなるけど、君は未成年の女の子なんだから」

「あはは、樹さん保護者みたいですね」


 彼女はへにゃと笑いながら言った。


「笑い事じゃなくてだな…」

「大丈夫です!こう見えて人を見る目には自信があるんで!」


 結乃は胸を張って言い切った。……スタイルいいんだよなぁ。

 ってこんな(よこしま)な考えは要らないんだ。

 それにしてもこの子は……


「なんで俺をそんなに信用してるんだ?」

「何ででしょうね」


 また彼女はへにゃと笑った。その笑い方は彼女にとても良く似合っていて、思わず見とれてしまう程だった。


「私は昔Kan……樹さんに助けてもらったことがあるんです。私が勝手に思ってるだけで樹さんは全く身に覚えがないでしょうが」


「俺に助けてもらった……?」


 全く身に覚えがない。別に俺は自分を客観的に見て性格は悪くないし、困ってる人がいれば割と進んで助けたりするが……俺の記憶にはこの子を助けた覚えはない。


「覚えてなくても無理はないです。私が勝手に恩を感じてるだけなんで」

「内容は教えてくれたりしないの?」


 彼女は少し考える素振りを見せて、


「うーん、今は内緒です」

「今はってことはいずれ教えて貰えるのかな?」

「樹さんは意地悪ですね」


 拗ねた顔でいう彼女はとても可愛く見えた。

 そう思うことくらい許して欲しい。手を出さなきゃ大丈夫だろ。思想・表現の自由ってやつだな。合ってるかは知らない。


「まぁ、内容はいずれ教えてもらうことにしてこれからどうしようか」


 俺としてはこのまま解散という流れが一番いいんだけど……


「せっかくですし、ゲーセン行っちゃいましょう!」


 ……まぁそうなるよなぁ。


 * * *


 大抵の音ゲーにはマッチング機能、つまり一緒にプレイ出来るシステムがついている。

 それを使ってスコアを競ったり、マッチングメンバー全員がフルコンボすることによって報酬が貰える機種などもある。【音爆】は特に報酬はないが、一人プレイとマッチングプレイでは譜面が違うというレア物なので結構皆マッチングしたがる。


 さて、何曲が一緒にやってみた感想だが、普通に上手かった。高難度はそこそこだが、低~中難度の譜面の精度がえげつない。ほとんど理論値ものだ。


 実際に何回かマッチング中に理論値出してるし。譜面違うから初見のはずなのになぁ……


「やっぱり樹さんは上手いですね。高難度は全然勝てません」

「高難度以外だと結構負けてるけどね」


 俺、苦笑。


「えへへー」


 俺、ときめく。


 と、こんな一幕を演じながら、いつの間にか相手が女子高生、いや、女性ということすら忘れて俺は普通に楽しんでしまっていた。

 気づけば夕暮れ時と言うには遅すぎるほどの時間になっていた。


 * * *


 時間見て俺は頭を抱える。

「しまった……おれは大学生だから門限とか気にしてなかったけど相手は高校生、しかも女子だぞ何やってんだ俺……」

「樹さん?大丈夫ですかー?」

「これは一度親御さんに連絡した方が良いのか?いや、でも全く知らない男から電話来たらそれこそ通報もの……」

「いーつーきーさーん。もしもーし」

「時刻は8時半。函館市内って言ってたし9時半までには帰れるだろう。それならセーフ……?」

「いーつーきーくーん」

「とりあえず結乃ちゃんに確認して……」

「樹さん!!!」

「うわっ!」


 とても大声で呼ばれて死ぬほどびっくりした。


「急に大声で呼ばないでくれよ……」


 まだ心臓バクバク。


「さっきからずっと呼んでたんですけどー」


 結乃ちゃんががジト目で見てくる。呼ばれてるのに全く気づかなかった。

 とりあえず、まずは確認しとこう。


「結乃ちゃん時間は大丈夫?」

「大丈夫ですよ!今日は友達の家に泊まりに行くって言ってきたんで」

「そっか、なら良かった」


 俺はホッと胸をなでおろ……


「友達って……だれ?」


 嫌な予感がした。聞いてはいけない質問だとわかっていても聞かずにはいられない。漫画やアニメでありきたりの展開に片足を突っ込みかけている。まずい。


「やだなぁ、誰って樹さんに決まってるじゃないですか」


 あ、だめだこれ、片足どころか全身突っ込んでたわ。

あるあるなフラグを立てて回収した今回いかがでしたでしょうか。

大分超展開ですね。次回からはもっとゆっくり濃く話を進めていきたいと思います。

続きは出来るだけ早く更新したいと思うのですが、リアルの忙しさがそうさせてくれなさそうです……

しかし、皆さんを待たせるわけには行かないので出来るだけ早く更新したいと思います!

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