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プロローグ Kanjuとクロ

新作投稿です。

色んな顔を持つ大学生が中心のラブコメです。

 音ゲーは最高だ。

 いや、まぁ、音ゲー以外でも格ゲーとかソシャゲとかなんでもいい。俺は声に出して言おう。


「ゲームって素晴らしい!!!!!」


 周りの人がビクッと反応した。

 手を思いっきり叩いた後に叫んだから周りの人がとても驚いている。しかし、今の俺にとってはどうでもいい事だった。


「最多理論値数首位奪還じゃー!!!!!」


 またも周りの人がびくっとなる。


 やばい、心なしかめっちゃ睨まれとる。けど、俺はこの高鳴る気持ちを表に出さずにはいられなかった。

 何があったか説明しようか……


 俺は今ゲーセンにある有名な音ゲーをやっている。あぁ、音ゲーって言うのは、所謂(いわゆる)リズムゲームの事だ。音楽に合わせて太鼓を叩いたり、画面をタッチしたり、ボタンを押したり、パネルを踏んだりしたりするあれだ。


 俺はその音ゲーを中心にやる、要は音ゲーマーってやつだ。そして俺は自慢じゃないがその中の【音爆】っていう音ゲーでは知る人ぞ知る超トップクラスプレイヤー所謂、ランカーだった。所謂多いな。


 そして俺は、そのゲームの理論値数が最多だったのだ。理論値(りろんち)ってのは音ゲーそれ以上取ることの出来ない最高のスコアだ。理論値を取るには異常な集中力と相当な上手さが必要で、俺はこのゲームに収録されている約400曲中実に346曲の理論値を取っていて、ネットで見れる理論値数ランキングでぶっっっちぎりの単独首位だったんだ。ついこの間までは……


 * * *


 ー先日。


「今日も大学疲れたな……今日はバイトもないし色々サイト漁ってみるかな」


 俺は乾 樹(いぬいいつき)。特になんの特徴もない……いや、一つあったな。仲間内からは「そこそこイケメン」と定評のある、大学2年生だ。あとちょっとオタク。特徴とは。

 今日も講義がおわり、いつものように、あらゆるゲームの情報を集めようとしていた。

「まずは音爆からだよな〜」

 鼻歌交じりにサイトを開き……俺は固まる。


「な……なんだこれ……」


 おかしい……昨日までは2位との差は50曲以上あったはずだ……普通、理論値は一曲取るのにどんな上手いやつでも下手したら1時間かかる時だってあるんだ……なのに…


「なんで抜かれてるんだ!?」


 俺との差は3曲差。1位のユーザー名を確認する。違う。昨日まで二位にいたのはこいつじゃない。俺は信じられなかった。


「たった一日で50曲以上の理論値を出したって言うのか……?」


 2位以下との差は詳しくは見てなかったが50曲以上なのは確実……。一体何が起きてるのか理解できなかった。

「プロフィール欄にTwitterアカウントが書いてある……」

 見るしかない。そう心に決めた俺はすぐさま検索にかけた。


 ー見つかった。

 アカウント名はクロ。ツイートやプロフィールを見ている限りどうやら高校生の音ゲーマーの様だ。性別は不明。


「リプライを送って見たいが……ここで送ると何かが負けな気がする……!」


 俺は自分の中で謎の葛藤(かっとう)をし、そして、決めた。


 ランキング抜かし返してからリプなりDMなりを送ってやる……!


 そして話は現在に至るー。


 * * *


 以上が回想です。別に?ムキになってたわけじゃないし?そこだけは理解しといてほしい。

 こういう理由があって、本日4曲目の理論値を出した時に大喜び……しちゃったなぁ。周りの人ごめんなさい。けど、この目標を達成した時の爽快感。これだからゲームは止められない。

 と、落ち込んでいると周りから拍手が聞こえた。


「凄いじゃないですか!この曲最高難度の曲ですよ!?理論値だなんて!やっぱりKanjuさんは凄いです!」


 うわ、隣でやってた人がいちばん興奮してた。ちなみにKanjuってのは俺のユーザー名。乾樹だから音読みしてKanju。安直だろ?


「いや、最高難度とは言っても一番難しい訳じゃないし……」


 一番難しい曲ともなると、恐らく人類じゃ理論値は出せないだろうな。って言うレベルの話だ。


「写真いいですか!?」


 ぐいぐい来られて少したじろぐ。


「いや、俺はあまり目立ちたくないから……あと、Twitterとかでも会ったとか言うのはやめて欲しいかなって……」


 俺はネットにどハマりしてる癖に、身バレを異常なくらい警戒してるので、Twitterでも度々、


「俺に出会っても、見たとか写真とかツイートしないでください。されたら音ゲーもネットもやめます」


 とツイートしていた。これが案外効果的で皆、暖かい目で見てくれていた。


「あ、すいません。分かりました。理論値おめでとうございます!では僕はこれで!」


 俺が何か言う前に高校生くらいの男子はスタスタと行ってしまった。

 まぁ、いいか。

 さて、じゃあ目的も達成したしクロにリプでも送るか……と思った矢先、その当事者クロから通知が来ていた。

 恐らく気づいたんだろうな。首位奪還されたことに。どんな皮肉を言われることやら……。


「ん?」


 何かおかしい。クロからのリプライが表示されない。


「まさか……」


 ドンピシャ。クロから来ていたのはリプライではなくDMだった。


『Kanjuさん凄いです!やっぱり僕が唯一尊敬してる人って感じです!まさか一日で首位取られるとは思ってませんでした(汗)。しかも僕には取れなさそうな譜面ばかり……。あ、Kanjuさんも確か北海道住みなんですよね!実は僕もなんです!機会があれば一緒にマッチングしませんか?』


 ……長い。とても勢いのある内容だった。にしてもマッチングか……。あ、マッチングって言うのは一緒に協力プレイをすることだと思ってくれていい。

 これ、会ったら相手ヤンキーつれてきてて、


「なに、わしの首位奪い取ってんねん。息の根止めるぞゴラァ」


 とか言われない?大丈夫?

 とりあえず返信しようか。


「僕も一日であの数を抜かれると思って無かったんでめっちゃ焦りました。オフ会ですか。機会があればやりましょう。」


 うん、無難な返事だ。"機会があれば"という言葉を使い遠回しに会いたくないよアピール。使える。

 ……返信が来た。早すぎ。


『すごく頑張ったらいけました!簡単な曲ばかりですけど……。Kanjuさんは北海道のどこに住んでるんですか??』


 ……頑張っていける量じゃないんだけどなぁ。簡単な曲ばかりというのも真偽の確かめようがないし。あのサイトは理論値を取ってる数しかでないからな。……しかしどこ住みか。これ位なら教えても大丈夫だろう。これで遠かったら諦めてくれるだろうし。

 北海道の広さなめんなよ!!


「そんなにいけるなんて凄いなぁ……。俺は函館はこだてに住んでるよ」


 よし、送s……返信が来た。おかしくない?怖いんだけど。


『僕も函館住みです!!!明日とか空いてません?』


 oh……

 なるほど。これが俗にいう詰みと言うやつか。同じところに住んでる以上。何回も断ることは出来ないだろうな。よし、即決。悩むのは嫌いなんだ。1回だけなら大丈夫だろう。


「明日13時からなら空いてるよ」


 ふぅ、s……返信が来た。まだ送信の"そ"すら発音してないよ。心の中だから発音も何もないけどな!


『じゃあ明日の13時にハラパーク前でいいですか?』


 ハラパークというのは人気ゲームセンターである。あそこなら交通の便も良いし、人通りも多いから襲われることは無いだろう。


「いいよ」


 簡潔な返事をした。すると相手からの返信はなく、既読マークが付いただけだった。大雑把な男子だな。そして、俺は初のオフ会にやはり不安が拭えず、明日になるまで胃の痛い思いをするのであった。


 ……てかTwitterに既読マーク要らなくね??



 * * *



 オフ会当日になってしまった。

 あの後何度かやり取りをして、ハラパーク近くのコンビニ集合になった。

 時刻は既に13時を回っている。ボコされないかなぁ。胃が痛いなぁ。

 俺の服装の特徴は教えてあるし、見つけたら声掛けてくるだろう。

 ……適当にサイト見てよ。


 ……待つこと20分。流石に遅いのでは無いか。連絡のひとつくらいくれても良さそうなものだが。……なるほど、仲間集めてる可能性があるな。遺書とか必要だったかもしれない。

 そんなこと考えていた時、丁度後ろから声をかけられた。


「あの、Kanjuさんですか?遅れてすみません。電車が遅れてしまって……」


 背後から可愛らしい声が聞こえる。


「あぁ、全然大丈夫……」


 ん?可愛らしい声?

 その違和感にバッと俺は振り向いた。

 そこに立っていたのは。


「わ、びっくりした。どうしたんですか?」


 段々と暑くなってきた北海道にぴったりな涼しげな服を着た。


「お、女の子……だって?」

「あ、はい、そうですけど……あ、私クロって言います。高校2年生です。よろしくお願いします。Kanjuさん」



 ー現役女子高校生だった。

 

プロローグいかがでしたでしょうか。

まずは一人目のヒロインのクロが中心となるエピソードがつづきます。

少しでも面白いと思った方は1話も同時掲載しておりますので、ご覧下さい。

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