お腹が空いた、海のカフェ
朝日が憂鬱な日の始まりを告げるかのように目に当たる。
朝日が熟睡の私の寝を妨げるかのように明るさを増していく。
そろそろ起きなきゃ、などと考えながら私は渋々布団を出た。
下からフライパンで何かを熱している音が聞こえる。
「おはよう。よく眠れた?新しい家は」
「眠れるわけないじゃん。」
「そっか。ほら、早くご飯食べちゃいな。転校初日から遅刻なんてシャレになんないよ。」
ーーそんなことわかってるよ。
ふと、母に対して心で反応してしまった。
そう。私は転校してここに来た。来させられた。
ホントはこんなところ来たくなかった。
転校前の友達と転校した学校で卒業したかった。
だが、私のわがままで父の転勤をどうこうできるはずなどなかった。育てて貰っている以上文句など言える立場では無い。
だから、私はここで生活をしていかなくてはならない。
学校への行く準備を済ませると、玄関のドアを開け、「行ってきます」と言い放ち私は別天地へと足を進める。
学校に着き駐輪場に自転車を止めると、まずはじめに職員室に顔を出した。
「あ、あのすみません…」
「何かようですか?うちの生徒ではなさそうですが」
「本日転入してきました。平野ヒカルです。よろしくお願いします。」
「あなたがですか。では、こちらに。」
簡単な学校の説明とクラスのことを話されると、私はクラスへと案内された。
クラスの前で待たされると心臓がバクバクと走りを早めた。
「今日は転校生を紹介する。じゃぁ入って」
呼ばれた!、っと不意に体をびくつかせたが、冷静を取り戻し教室へと入った。
クラス内の視線がとても痛かった。自分を責めても、蔑んでもいないのにとても不安になった。
ブルブルと震えながらいると、「では自己紹介を」と言われた。
どうしよう、どうしよう、どうしよう…
混乱して言葉が思いつかなかった。思考が追いつかなかった。
「ほ本日、こ、こここのが、がが学校にてんにゃうさせてあただきました。ヒラのひひカルでちゅ。よ、よ、よ、よろしく、おお願いしやす。」
終わった。
つい、新たな生活の終わりを感じた。
もう分かったと思うが、一応言おう。
私こと平野ヒカルは、
世界1の口下手である。
初めての学校の帰り。
見事にぼっちとなった私は、この街の海に足を運んだ。
透き通る海と、少し冷たい潮風が私を励ます。
「ここ落ち着くなぁ〜」
今日のことを忘れたいがために来たが、正解だった。
見ているだけでとても落ち着く。
少しの安心感に満たされた私は、ぱっと立ち上がった。
「帰ろー」
そう言って家に帰ろうとした次の瞬間。グ〜〜、とお腹がなった。
なんか食べてこう、と考えた私の心を読むように目の前に一軒のカフェがあった。
「さっきまでなかったような、あんなカフェ」
不意にそんなことを思ったが、お腹は待つことを知らず、そのお店へ近づいた。
前の看板にはお食事メニューが出されていた。
カフェの外観はオシャレだし、看板の料理もとても美味しいそう。ヒカルは即効でこのカフェで腹を満たすことを決めた。
「えっと?…カフェweatherか。天気って意味だよね。」
ヒカルはそう言うとそのお店のドアを開けた。
「いらっしゃいませーー」
中からは男の人の低い声がした。
初めまして。
お天気カフェを読んでいただきありがとうございます。
初の試みで少しの緊張しましたが、自分の描きたいものが書けたと自負しています。
このお天気カフェは短編の作品なので、まったりと進めていきたいと思いますので、続き書いたらぜひお願いします。
読んでいただきありがとうございました。