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赤色の髪の女性がそこには居た。
お菓子を食べながら座っているだけだが。
「待っていたよ?ファル」
師匠ごめんなさい!最近旅の準備とかで忙しくて会えなかったです。
「気にしていないから安心したまえ。それより、特訓をしようか?」
気にしていないと言っていたけど師匠は少し怒っているみたいだ…
「私は別に怒ってなどいないが?それとも今日の特訓3倍にして欲しいのかな?」
そ、そんなつもりはないですよ…今日もよろしくお願いします。
僕はいつも通りの特訓を始めた…
だいたい1時間くらい経っただろうか、僕は師匠にぼこぼこにされていた。
「それ」
師匠は少し怠そうにそう言って僕のお腹を殴った。
ぐはぁっ、はぁ、はぁ、もう少し手加減してくれませんか?
「毎回言うが私はかなり手加減してるつもりなのだが?それにここは現実ではない、夢の世界だから痛みは感じないだろ?」
知ってますよ…けど、痛みは来なくても疲れは感じるんですよ…
「そのくらいはしょうがないだろ、ほら」
足払いっ!?うわわぁぁぁっ!
ばたんっ
師匠の足払いを受けた僕は思いっきり頭を打って倒れた。
「ファルまだまだだな。また来い」
師匠にそう言われた瞬間視界が揺らいだ………
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「…ル……にゃ…。ファル起きるにゃ!」
びくっ!
「あっ、あぁにゃんたおはよう」
「まったく、結局あっしが朝まで見張りする事になったにゃ」
あぁ!そっか…見張り交代でやろうって言ってたのに昨日は師匠と訓練してたから出来なかったのか…
「にゃんたごめん!」
「あっしは怒ってないからいいにゃ。それよりご飯をくれにゃ。お腹が空いたにゃ」
「分かったよ。今出すからちょっと待ってて」
にゃんたが「あっしはラットのサンドイッチがいいにゃ」と言っていたので見張りをさせてしまった代わりにサンドイッチにしようと探しているのだが…
「どうかしたにゃ?」
「う、ううん。何も無いよ。はい、これサンドイッチ」
「にゃ?ルーの分は無いのかにゃ?」
にゃんたの言う通り僕はラットのサンドイッチは後1つしか無く食べられないのだ。
その時、
「にゃいのか。なら、これ食えにゃ」
そう言ってにゃんたはサンドイッチを2つに分け片方を僕の方に出してきた。
「にゃんたいいの?」
「しょうがないにゃ。しっかり食べないと駄目にゃ」
「ありがとう!」
食べた後、テントの後片付けをして出発の準備をした。
「よし、にゃんた行こうか」
「今日こそはこの森を出たいにゃ」
にゃんたがそう言ったので、「そうだね」と返事をした。
歩き始めて気付いた事がある。
それは、昨日助けたウルフが何故か先頭を歩いていること。
「 にゃんたあのウルフ元気そうだね」
「分からないにゃ」
にゃんたは珍しく分からないと言っていた。
かなり血流していたのにあんな元気なのはポーションが良かったからかな?
1人でそういうことだろうと納得した時、不意にウルフが走りだした。
「どうしたのかな?」
「とりあえず付いて行くにゃ」
僕とにゃんたは走っていったウルフの後を追うように走った。
数分走ってウルフが立ち止まっているのが見えた。
迷ったのかな?とか思っていたけどウルフの後ろの景色を見た瞬間その疑問は消えた。
「やったぁ!!やっと森抜けたよ!」
「わんっ!」
「ありがとう!君のお陰で森から抜けられたよ!」
僕はよしよしとウルフの頭を撫でた。
「それじゃあまたね、ばいばい」
撫でるのをやめてウルフに別れを告げた。
その後ウルフは、また森の中に入って行った。
「にゃんた、きっと街まで後少しだから頑張ろう!」
そうにゃんたに言ったのだが、にゃんたは何か考えている様だった。
「…あのウルフは何かおかしいにゃ…」
「どうかしたのにゃんた?」
「何もないにゃ!早く行こうにゃ!」
「う、うん」
小声で何か言っていた様な気がしたのでそう聞いたのだが、気のせいだったみたいだ。
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「やはり、気が付きましたか…流石と言うべきでしょうかね…どうでしたか彼の様子は?」
「スカーレットの弟子と言う事もあるがあいつは強い。だが、まだ若い。道を踏み外さなければいいがな」
「それは、心配ないですよ。何せ、彼は私が見込んだ人ですから」
「くだらん」
ファル君頑張ってください。あなたは、この世界の希望なのです…