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「この世界には、ジョブと呼ばれるものがある。例えば、剣士とか、魔法使いじゃな。まず、剣士とか魔法使いなどは何と呼ばれておる?」
「えーとねー、戦闘職かな?」
「うむ、合っとるぞ。じゃあ、次じゃ、僧侶や斥候など、戦闘には向かんが戦闘を補助出来るジョブを何と言うかの?」
「うーん。…あっ!補助職だ!」
「よく思い出したな、最後に戦闘には向かず、補助職のように補助が出来ず。基本的に、物しか作れん鍜治士や薬師などの事を何というか、分かるかの?」
「分かるよ!生産職って呼ばれてるんでしょ!」
「覚えておったか。いい子じゃな、だが、これだけは覚えておくんじゃ、生産職でも―――
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「ん、ふぁー。懐かしい夢みたな。今日ここから出て行くからかな…」
僕はファル・ルハード。
生産職の中でも一番の不遇職と呼ばれている、錬金術師。
おじいちゃんの言い付けで15になったらこの森を出て、外の世界を見てこいって言われた。
今日で15歳になるからこの森を出なければならない。
けど、
「ファルもう昼じゃぞ」
「あれ!もうお昼!おじいちゃん起こしてよ!」
「今起こしたじゃろ。急がないと野宿になるぞ」
「早く着替えないと!」
おじいちゃんにそう言われた僕は、急いで着替えを始めた。
「よし、着替えも終わったし、出発するか」
ぐぅ~
「ほれ、これ食べてから行くんじゃ」
「おじいちゃん、ありがと!」
「ラットの肉が入っておるぞ」
「本当!サンドイッチにはラットの肉が一番美味しいからね、嬉しい!」
ラットの肉とパンの組み合わせがとても美味しくてすぐ無くなってしまった。
「あっ、もう無くなっちゃった…じゃなくて!急がないと!」
ラットのサンドイッチを食べた僕は、家を出た。
「行ってきます、おじいちゃん」
「うむ、元気でな。それとこれを渡しておこう」
「何これ?」
「街に入る時にお金を払わないと行けないからな、その分のお金じゃ」
「ありがと!」
家とおじいちゃんに別れを告げて移動を始めた。
少し歩いて気付いた事があった。
「あっ、にゃんた呼んでない。おーい、にゃんたー」
大声でにゃんたを呼んだ。
にゃんたと言うのは、仲のいいケットシーで昔から一緒に居たんだ。
「ルー呼んだかにゃ」
「にゃんた、これからここ出るんだけど、道分かる?」
「と、当然分かるにゃ」
「じゃあ、案内よろしくね。にゃんた」
「任せておけにゃ」
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10分後
僕達は迷ってた。
にゃんたの後ろに付いてったらいつの間にか知らない所に行ってしまった。
「にゃんた分かるんじゃなかった?」
「ごめんにゃ、本当は分かんなかったにゃ」
「気にしなくていいよ。確かこういう時はあれだな」
あれをやる為に地面である物を探す。
「おっ、ちょうどいい枝発見。それっ」
見つけた枝を地面に置いた。
「倒れた方向がこっちだから、こっちに行こ」
そう言って僕達は、枝の倒れた先に行くことにした。
(適当だにゃ)
と思われたのは本人は知らない。