なんてことない暮らし
窓の外の小枝に入れかわり立ちかわり止まる小鳥のように
ぼくのあたまのなか 次々とやってくる思考
パンくずをなげるように
ぼくは その相手
さむい さむい よるには
そらが すうっと透明になり
ほしが ぜんぶの星が みえる
あつい午後
浜辺にでかけて ひと泳ぎ
魚たちといっしょに
水の中で踊る
沈みこんでいきたい日には
昼間でも部屋を暗くして
蝋燭を灯す
ぼくだけの よる
ぼくだけの
なんだかすこし 優越感
たまに街へ出かければ
まるで 別世界に来たようで
それはそれで また楽し
コーヒーカップを片手に
暖炉の炎を見つめていると
時間は
優しく飛び退ってゆく
なあんだ 世界は 完璧なんだ
いろいろ 心配することなかった
いまここに あるものだけで
こんなにも しあわせ
なんてことない
詩人のようなくらしは