#2 俺らは似ている
「なんで・・・」
海は口を開いた。
「なんであたしと拓斗が同点優勝なんだよ!?
「まったくだ」
俺も言った。
俺と海がゴールしたあと、みんな俺達と走りたくない。
と、言って試合放棄。
あのとき同着だった俺達は同点優勝という事になった。
「「あたし・俺のほうが早かったのに!!」
海と拓斗は同時に言った。
キーンコーンカーンコーン キーンコーンカーンコーン
コレは予鈴じゃない。本鈴だ。
知らぬ間に予鈴は鳴っていたらしい。
*
授業中−。
何かクラスじゅうに紙が回っている。
俺のトコにも来た。
内容は『燕崎海と喋ったら仲間はずれね』というものだった。
字からして女子だ。
まったく女子ってヤツは・・・。
「まったく女子ってヤツは・・・。」
俺が思った言葉が隣から飛んできた。
海だ。 俺の持っている紙を見ている。
「海って女子に嫌われてんだ?」
俺は聞いてみた。
「まぁね」
「なんで?」
「あたし女子信じられないもん」
「お前も女子だろうが」
「意外だ。 拓斗ってあたしのこと女子だと思ってたんだ。」
「はぁ? そりゃそうだろ?」
「あたしはあんなヤツラと一緒にして欲しくない。」
「なんでだよ?」
「影でコソコソしてウザイ。 言いたい事はっきり言わないヤツラばっかり」
「そういうもんだろ」
「死ねばいいんだよアンナヤツラ」
海は怒りと悲しさを混ぜ合わせたような顔をで言った。
「まぁ人間なんて死ねばいいと俺は思う」
普通のヤツなら『なんてこと言うんだ』というかも知れないが
俺は違う。
「俺は人間・・・特に女子が嫌いだ」
「じゃぁあたしも嫌いかー。」
「や、別に海は嫌いじゃない」
「へーなんで?」
「何でって言われてもなぁ・・・ 何でもはっきり言うから」
「へー」
「あと俺と似てるから?」
確かに海と拓斗はどことなく似ている。
「どこがー?」
「海って人信じる?」
「無理だね。」
「うん。今みたいなトコ。」
「今?」
「人が信じられないトコだ。」