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津軽藩以前 (1568-1576)  作者: かんから
鹿角合戦 永禄十二年(1569)秋
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第二章 第四話 他国者とは

 小笠原は新しく為信の家来となった。やはり他国者とあって、家来らの反発は強い。“どこぞの骨に、禄を与える気か” “為信は何を考えている”


 特に、森岡は為信に詰め寄ってきた。


 「このような勝手なふるまい……殿はこれまでの殿らしく、黙って御座にいればいいのです。」


 為信は言い返す。


 「飾り物といえど、“殿” は “殿” だ。決して曲げん。」


 無理やり押し通そうとする。これは重大な約束事なのだ。対して森岡は怒鳴る。

 

 「やって良いことと、悪いことがございます。」


 二人は顔と顔を近づける。一触即発とはこのことか。


 あわてて、家来の(かね)(ひら)が止めに入る。二人を引き離し、落ち着かようとする。


 実は、この兼平という男。先の陣中には参加していない。留守役として大浦城を守っていた。従って為信の活躍を見ていない。

 ただしの家来や兵士から伝え聞くことより、“本当は力があるのでは”と思い始めていた。力があるのならお飾りの婿殿といえど、大浦家の為に才覚を発揮してほしい。そう考えた。


 兼平は言う。


「では、こうしましょう。」

 

 二人は兼平を見る。


「もし、次の戦で小笠原殿が手柄を立てれば、そのまま家来として雇う。為信様の目にも狂いはなかった。」


 手柄を立てなければ……


「小笠原殿には大浦家から出ていただく。」


 その時は、為信の立場は以前のように戻るだろう。


 森岡は渋々承知した。為信もそれを受け入れた。……ここは小笠原を信じるしかない。あの万次が選んだ男だ。期待していた面松斎は来ず、つまる所それ以上の活躍をするということだろう。

 

 ……その小笠原はというと、言葉を滅多に吐かず、ただひたすら槍の腕を磨いていた。


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